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 顎関節脱臼

 高齢者は顎関節脱臼を起こしやすい。加齢とともに顎の関節の締まりがなくなるためだが、一度起こると再発を繰り返すことがある。注意してください。顎関節脱臼は、いわゆる「顎が外れる」という状態だ。どんな年齢層にも見られるが、特にお年寄りに多い。「顎の関節が外れると痛みが生じ、受け口になって前歯で食べ物をかめません。ただ、口は大体2センチほどは開くので、高齢者は自覚しにくいようです。また、総入れ歯だと家族の人も気付きにくく、見逃しやすいのです」。

過度の開口やあくび・歯科の治療中に顎がはずれる人がいます。「顎がはずれる」というのは顎関節の脱臼のことで、大きく開口したために顎が前方に脱臼してしまったことを 指します。

 

脱臼は、片側の場合もあれば、両側にまたがる場合もあります。開口したままになるので 唾液が流出してうまく話せない状態になりますので、早めに受診してください。なお、受診できない緊急の場合の一つの整復方法を説明します。まず、患者をいすに座らせ、頭を固定します。次に術者が患者の前方に両足を開いて立ちます。

 

術者は両手親指ガーゼなどを厚く巻き、その親指をはずれた顎の奥歯の噛む面に当てます。次に、顎の下縁を他の4指で保持し、顎をつかむようにします。顎を動かす準備が出来たら、いよいよ整復に入ります。下方へ強く引き下げ、下げたまま後方へ移動させゆっくり関節へ納めるようにします。このとき、患者さんは強く噛むので術者は気を付けて下さい。回復後は、なるべく顎を安静にして下さい。脱臼が、長くかかった場合は違和感がとれるまで時間がかかるようです。

 

偶然、関節が元に戻るケースもあるが、通常は自分では戻せない。そのまま放置していると陳旧性といって、関節が外れたまま固まってしまうこともある。また、偶然元に戻っても、再発を繰り返しやすくなる。

 

頻繁に再発を繰り返したり陳旧性になったりすると、日常生活に大きく影響するばかりか、治療でも手術が必要になる。「初期の段階なら、顎の関節を元に戻して口を開きにくくする弾性包帯や、チンキャップという装具を1~2週間着けると改善します」

 

お年寄りは、顎の関節の靱帯などが衰えて締まりが悪くなるため、関節を外しやすい。早期発見するには、家族や介護している人はそれを念頭に置き、日頃から食べ方に注意するのが第一だ。

 

「前歯でかめない、口をぼんやりと開いている、あるいは総入れ歯でいつもより入れ歯が外れるといったことに気付いたときは、顎関節脱臼の可能性があるので、早めに口腔外科を受診すべきです」治療後は、再発予防のために日常生活であくびなどで口を大きく開けない方がよいという。

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