虫歯とは簡単にいえば、虫歯菌のつくる酸で歯が溶かされてしまった状態です。
虫歯菌は口中に常在し、この数を歯ブラシ等で減らすことはできても、ゼロにすることは事実上不可能です。
そこで、これらの雑菌をなるべく増殖させないために、雑菌の栄養源である糖質を口中から排除する事が重要になってきます。
これは、歯ブラシの大事な役目の一つです。
虫歯菌を含む雑菌と、それらが作り出す酸性の毒素とネバネバなどをひっくるめたものを歯垢、ないしプラークと言いますが、これらを歯ブラシ、歯科機器等で取り去ることを一般にプラークコントロールと呼んでいます。
虫歯は次の3つのうち、その一つでも除去できれば防げることがわかっています。
チョコレートやキャラメル、アメなどのお菓子に代表される砂糖を含む食べ物とむし歯には、とても深い関係があります。むし歯の原因となるのは、「ミュータンス菌」という細菌です。この細菌は、口の中に砂糖が入ってくると、活発に働いて歯垢をつくります。そして、歯垢の中で酸をつくります。むし歯は、この酸(歯科材料)によって歯が溶かされる病気です。
口の中で酸がつくられるまで、少し時間がかかりますので、早めにうがいや歯を磨くなどして、むし歯の原因を取り除くことがむし歯予防には最も効果的なことと言えるでしょう。むし歯はなってから治すのではなく、なる前に予防することが一番大切です。
「むし歯」が正しいです。一般的には、学校や歯科関係者では現在「虫歯」とせずに「むし歯」と表記するようにしています。
今からおよそ4,000年も前に、むし歯は歯が口の中にいる虫に食べられて穴があいたとする学説が唱えられ、以後ずっと信じられてきました。
しかし、18世紀にそのような考え方は否定され、1890年になってやっと細菌が口の中で食べかすから酸をつくりだし、その酸で歯が溶けたとする考え方がでてきました。この考え方が基礎となって、今では次のような4つの条件がそろった場合にむし歯になると考えられています。むし歯になりやすい歯の質、歯並び、噛み合わせになっている。[2]むし歯菌が旺盛な活動をしている。[3]歯につきやすい甘いもの(糖質)を多く摂取する食習慣がある。[4]プラーク(歯垢、歯くそ)が歯に付着したままになっている時間が長い。
逆のいい方をすると、これらの条件のどれか1つでも欠けると、むし歯はできないといえます。
結局、むし歯の原因は虫ではないので、「虫歯」とは書かなくなったのです。口の中には、常在菌が少ない人でも120種、多い人では350種以上も存在しています。その中のミュータンスなど数種類の虫歯(むし歯)菌が歯の表面に付着しているところに、砂糖などの糖質がつくと、菌体内多糖という糊(のり)のようにべたつくものをつくりだして歯に強力に付着して、繁殖を始めます。この状態をプラークといい、歯磨きをしていない状態の歯の表面を爪や楊枝で掻き落とすとチーズのような粘着物として目で容易に見ることができます。
このプラークの中で砂糖や炭水化物が発酵し、酸が産生され、蓄えられます。そして、この酸によって硬く石灰化していた歯質が脱灰(だっかい)されてしまいます。初期の脱灰は、歯の最表層よりも、内層に数十ミクロン入ったところのほうが強く起こり、歯の内部に浸透した光が複雑に屈折反射するために白濁(はくだく)した様相(白斑〈はくはん〉)を呈しています。
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