パッチテストでアレルゲン金属が確定した場合、問題となっている金属がどこに存在するかを検索しなければなりません。歯科治療で問題となるのは、口腔内に存在する金属修復物です。口腔内に存在する金属修復物のなかにアレルゲン金属が存在するのかどうかを調べる方法がなければ、すべての修復物を除去することにもなりかねません。
しかし、それでは患者および歯科医側の経済的、時間的負担が大きく、治療を躊躇せざるを得ません。一般に問題となっているアレルゲン金属が、口腔内のどの場所に存在するのかを非破壊的に、しかも正確にとらえることは非常に困難です。
アレルギーはタンパク質に対し起こるものなので、金属が直接にアレルギーを起こすわけではない。つまり、金属はアレルゲンではない。金属から溶出した金属イオンが、人体が本来持つタンパク質と結合し、アレルゲンとなるタンパク質に変質させる。
口腔内に金属製補綴修復物が存在することはわかっても、その含有元素や溶出傾向を肉眼で色や形、表面性状などから確かめることは、熟練した臨床家でも不可能です。また肉眼所見だけで、使用されている金属材料の正確な成分を判断したり、金属修復物をむやみに除去して分析したのでは、再修復治療に要する時間・費用・労力などを考えると、非常に負担が大きくなる可能性が高いです。
金属アレルギーを起こしやすい金属としてはニッケル、コバルト、クロムがある。一方で金・銀・白金はアレルギーを起こしにくい。最近、インプラントで多用されるチタンや宝飾品に用いられるタンタルやジルコニウムもアレルギーを起こしにくい。それは化学的に安定な不動態を形成するからである。アレルギーを起こしやすい金属は、合金になっていたりメッキされていることもあるので注意が必要である。また、チョコレート等の様に、食べ物に含まれている場合もある。
パッチテスト陽性金属元素の有無を調べるために、エネルギー分散型エックス線マイクロアナライザー、および蛍光エックス線分析装置を用い、口腔内のインレー、クラウン・ブリッジや義歯の表面を軽く削り、その粉末を採取して試料として分析を行うことができます。
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