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福島被ば調査乳歯保存拒否

 

 原発事故後の福島県の子供たちの内部被ばくを調べるため乳歯の保存を呼びかけた県議会での提案に対し、福島県が「反原発命(いのち)の主張」とレッテルを貼り、拒否のための情報収集をしていた実態が明らかになった。復興に向け「脱原発」を掲げる中での県の言動とあって、提案した県議は「事故で被害を受けた県としてあってはならない」と憤った。

 

 同県郡山市選出で自民党の柳沼(やぎぬま)純子県議(66)は昨年夏、広島市立大広島平和研究所の高橋博子講師が内部被ばくの証拠を残すため乳歯の保存を呼びかけているのを新聞記事などで知った。高橋講師に連絡を取り、その意義に賛同して昨年秋の県議会で取り上げるのを決めたという。

 

 柳沼議員は「内部被ばくがあったか(の証拠を)残せる方法。どんなささいなことでも原発事故後の全てのデータは残しておくべきで、県がやるべきことだと思った」と振り返る。しかし、期待に反して、県から前向きな答弁はなかった。

 

 県は昨年8月、「『脱原発』という考え方の下、原子力に依存しない社会を目指す」とする「復興ビジョン」を決定。柳沼議員は「原発はいらないと言っている県が『反原発だから』という理由で(乳歯保存を)嫌がるのはおかしい。前向きな答弁が当然のはずなのに」と怒りをあらわにした。smile better

 

 乳歯による内部被ばく検査を巡っては、千葉県松戸市の歯科医院「きょうどう歯科新八柱(しんやはしら)」が保護者らに提出を呼びかけ米国の分析機関に乳歯を送って検査する活動をしている。約200人の乳歯が集まったという。藤野健正(たけまさ)院長は「福島県が、呼びかけることすら嫌がるなんて信じられない。子供を守る責任を放棄している」とあきれたように話す。

 

 県が提案を退けるための「理論武装」に頼ったのは、全県民を対象に実施している県民健康管理調査について話し合う検討委員会のメンバー。検討委を巡っては、約1年半にわたって秘密裏に準備会(秘密会)を開いて事前に意見を調整したり、議事録から内部被ばくに関する記述を削除して情報公開したりするなど、不透明な運営が次々と発覚。県は10月に内部調査を実施したが、報告書はこのメールについては一切触れていない。


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