口腔ケアとは、口腔の疾病の予防、健康保持や増進、リハビリなどによってQOL(生活の質)の向上を目指したものであるから、清潔に安全に行うことが必要であり、方法としては、むし歯、歯周病予防のためまた誤飲性肺炎予防ための口腔清掃と,口腔機能が低下した人のための口腔リハビリがあります。口腔ケアが不十分だと口の中が不衛生な状態となり、虫歯になりやすくなるだけでなく、口の中で増殖した雑菌が気管や血管に侵入し、肺炎など深刻な病気の原因となってしまいます。特に高齢者の方は抵抗力が落ちているため注意が必要です。
口腔にはいろいろな病気が生じるため、口腔ケアをする前に口臭、痛み,腫れ、出血か乾燥がないかを観察することも大切なポイントであります。高齢者の口臭はほとんどが口腔衛生状態の不良で生じた食べかすや歯周病による排膿、むし歯が原因ですが舌苔や義歯自体も見逃してはいけません。
口腔清掃の時、誤飲を避けるために起座位が望ましいのですが、多くの場合寝たっきりですので出来ない時は側臥位にし、汚さないように耳の所から肩甲骨の所までバスタオルを置きます。出来るだけ毎食後に歯磨き粉をつけて、それが使用できない場合はうがい薬をつけて、障害の程度に応じて小さめの歯ブラシ、綿棒を使い清掃してください。
がん、心臓病、脳卒中に次ぐ日本人の死因第4位は肺炎ですが、肺炎で亡くなられる方の9割以上は65歳以上の高齢者です。高齢者に多く見られる肺炎は“誤嚥”が原因で発生する誤嚥性肺炎です。口腔内の細菌や逆流した胃液が肺に流れ込み肺炎を引き起こします。病気や加齢によって咳反射や嚥下反射の力が低下することで起こりやすくなり、こじらせると命に関わる病気です。
予防には、口腔内を清潔に保ち細菌を減らす「口腔ケア」と、飲み込む力を回復する「摂食・嚥下機能の回復」が効果的です。毎日の歯磨きを怠らず、唾液線をマッサージして嚥下反射を促すなど、できることから改善してみましょう。
義歯を入れている場合には、外して義歯用洗浄剤に漬けるだけでなく歯ブラシでの機械的な清掃もして下さい。義歯を外した後の部分や舌も柔らかい歯ブラシかガーゼで清掃します。また、うがいや口すすぎも重要であります。うがいは口腔内と咽頭、喉頭部分に潤いを与え清潔にしてくれるので呼吸器の感染予防に重要でありますが飲み込んだり、気管に吸い込んだりしますので大変危険なので意識があり、唇が閉じられ、頭をのぞけられ、水を吐き出せる場合のみ行ってください。
口すすぎは水を含んで口先を漱ぐものですから顔を下に向けることでさらに安全に食べかすを取り除き口腔内をきれいにしてくれます。口腔機能が低下した人に手指での粘膜のマッサージや舌の引っ張り運動、歯ブラシや電動歯ブラシによる刺激がリハビリになります。
舌や粘膜への刺激は嘔吐を引き起こしやすいですが、注意しながら、疲労感を与えないように手際良く、楽しい雰囲気を作り、介護を受けている人の生活にリズムを与えることが口腔ケアに重要なことであります。
また、口腔ケアに従事していての感染の報告は極めてまれですが、これは口腔ケア従事者から受ける側の人への感染予防にもなることですが、ケア前後の手洗いを十分にしましょう。さらに、血液に触る時はゴム手袋を使用することが重要です。看護、介護者が普段の健康管理を心がけることが受けている人の健康につながる事を理解し、家族や介護者の温かい心配りで介護を受けている人の口腔内を守りましょう。
通常の歯医者でも子供から高齢者まで様々な人が治療を受けるために訪れることから、多くの短大や専門学校にて卒業後に歯科衛生士国家試験の受験資格の他に、訪問介護員養成研修2級(ホームヘルパー2級)と居宅介護従事者養成研修2級の資格を取得することができます。
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