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酸蝕歯

 歯の硬組織、特にエナメル質が種々の要因によって侵蝕されること。侵蝕症とも。歯の化学的な損傷の一つである。酸蝕症に罹患した歯を酸蝕歯という。生活習慣病の一つととらえられている。現在では、「楔状欠損」の要因の一つであると考えられている。

毎日摂取している食べ物には、酸が含まれています。その酸などによって歯が溶け、薄くなった歯を「酸蝕歯」といいます。酸蝕歯は男女、年齢を問わずに発生し、歯が欠けてきたり、しみるなどの症状をもたらします。日本人の6人に1人が「酸蝕歯」であるとも報告されています。

 

好発部位としては上下顎の全歯であり、他の「tooth wear」よりも多い。形態としては、浅くU字型となっており、エナメル質表面が滑らかで光沢があるために、病状が進行しないと気付かないことも多い。酸の作用によって脱灰される現象であるが、細菌が関与していないという点でう蝕と異なっている。 症状が進行すると冷たいものが歯にしみる知覚過敏や虫歯のような痛みを引き起こす。

 

飲食物などに含まれる酸により、歯の表面が溶けてしまう「酸蝕歯」。進行すると冷たいものが歯にしみる知覚過敏や、虫歯のような痛みを引き起こす。原因となる酸性飲食物は、炭酸飲料やかんきつ類など、私たちの食生活に深く根付いた身近なものばかり。予防には、食生活の習慣を見直して、過剰摂取や不適切な飲み方、食べ方を改めることが大切だ。

 

清涼飲料は酸性度が高く、多くはクエン酸かリン酸が含まれているため、摂取方法を誤ると歯が溶け、酸蝕歯の原因となります。レモン、グレープフルーツ、オレンジなどのかんきつ類は、さわやかな香りだけでなく、クエン酸に由来する強酸があります。清涼飲料同様に摂取方法を誤ると、酸蝕歯の原因となります。ベジタリアン、ビタミンC剤、クエン酸、食酢、果実酒、飲泉なども酸蝕歯の原因となります。健康ブームにより、ベジタリアン、食酢などの強酸を飲用される人は増えていますが、摂取方法を誤ると酸蝕歯の原因となります。

 

硫酸、硝酸、塩酸などを取り扱うメッキ工場、電池工場などで働いている人は、発生した酸によって酸蝕歯になることがあります。硫酸を使用する製錬所に勤務する従業員を調べたところ8%の人に酸蝕歯が見られたという報告もあります。また、ワインを大量、頻繁に試飲するワインテイスター、pHの調整されていない塩素消毒のおこなわれているプールで水泳をする人にも酸蝕歯がみられることがあります。拒食症、過食症、胃食道逆流症、ドライマウスなどによって酸蝕歯になることがあります。

 

治療としては、歯科においてクラウンなどによる修復が行われる。しかし、酸蝕症に至った原因を突き止め、その原因を解決しなければ根本的な治療・回復には至らない。東京医科歯科大学の調査によると市販の飲料120種のpH値を測定したところ、実に73%の製品がpH5.5以下であった。調味料やかんきつ類の調査でも多くがエナメル質を溶かすpH値を示した。

 

例としてコーラ飲料はpH2.2で胃酸の数値(pH1~2)に近い。栄養ドリンクは2.5、黒酢飲料は3.1、スポーツドリンクは3.5であった。原因となるものの摂取量の減少のほか、原因となる飲料・食品などを長時間口の中に入れず、摂取後は水やお茶ですすぎ洗いし、歯磨きを励行する。

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