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フッ素中毒

 

 

 フッ素って安全なの?フッ素は特別なものではなく、お茶や味噌汁、清涼飲料水など様々なものに入っています。私たちは毎日知らず知らずのうちに、ある程度の量のフッ素を摂取しているのです。ただし、フッ素を取りすぎると中毒症状(吐き気や腹痛など)が現れます。しかし、フッ素を普通に使用している分には全く問題はありません。

 

 フッ素の急性中毒量(吐き気や腹痛などを起こす量)は、体重1Kg当たり2mgです。それに対して、最も誤って飲みやすいフッ化物洗口剤に含まれるフッ素の量は毎日行うタイプのもので約1.6mg、週1回行うタイプの濃度の濃いもので約6.3mgです。(ちなみに、市販のフッ素入り歯磨き粉のフッ素濃度は濃いタイプの洗口剤と同等です)

 

 誤解を招くといけませんので、まず私たちは「水道水フッ素濃度適正化」をう蝕予防第一手段とすることを強く支持するものであることを申し上げておきます。また、次善の策としてフッ素入り歯磨剤の使用、フッ素洗口,食塩のフッ素化等を支持します。

 

 ここで述べようとすることは、フッ素ゲル、フッ素塗布などの誤用による急性中毒についてのものであって、フッ素によるう蝕予防法そのものについてのものではありません。フッ素を利用するにあたっては、そこには基本的なルールがあることを忘れないようにしたいということです。なお、正しい用語は「フッ化物」ですが,ここでは一般用語として「フッ素」という言葉を用いています。

 

 仮に体重30kgの子供が急性中毒を起こそうと思ったら、急性中毒量は2mg×3060mgとなりますので、フッ素洗口剤(毎日行うタイプ)37.5人分、フッ素洗口剤(1回行うタイプ)9.5人分を一気飲みしなくてはなりません。これは意図的に行わない限り、現実的にはありえないでしょう。ちなみに、洗口剤を毎日飲み続ければ「斑状歯」という慢性中毒になることは可能です。

 

 フッ化物の急性中毒については多くの報告がありますが、多くはフッ化物製剤の誤用や大量摂取などとされます。最近20年間、フッ化物の歯科的応用の拡がりにより外国では歯科用薬品に関連しての事故例が多くなっています。しかし、わが国では、フッ化物製剤は先進諸国ほどには普及しておらず、また管理が行き届いているせいか、中毒例は極めて少ないといえます。とくにわが国では家庭で用いるフッ化物錠剤がないことが中毒例の少ない原因となっています。

 

 

 

 

 

 

 

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