根の治療(根管治療)とは広義の意味で歯の中の汚染と根管外への感染源を除去する治療です。通法では歯髄腔を適切に拡大清掃し、防腐的材料が根尖孔まで緊密に充填(根管充填)されることを目的とします。
一般に充填が出来ずに残った空間は血行もなく免疫系の働きが及ばないため、バクテリアの繁殖がありますと感染根管と呼ばれ、根尖孔や根管外に開かれた側枝付近に病巣(嚢胞状、肉芽腫状);根尖病変がつくられ慢性炎症化します。噛むと痛い、時々腫れる痛むというような臨床症状がありますが、このような場合は再度根管治療をしなおす必要があります(感染根管治療)。
歯周病に比べて、歯内療法という言葉は、まだまだ患者さんに認知されたいない言葉です。根管治療は、術者の技量によって大きく差が出ます。かぶせた歯の根の先の部分から、膿が出てきたり、かぶせた歯が痛くなったりした事はないでしょうか?
これは歯科X線を見ると一目瞭然の歯の根の先に黒い影が出来ています。歯の根の先まできっちり根管充填材というものをつめなければなりません。歯によっては曲がった根もありますが容易ではないのですが、例外はありません。必ず根の先まで根管充填材を入れておかないとその歯の運命は悲観すべきものになっています。
根管治療がなかなかうまく行かず、何ヶ月もの間、痛みや違和感で困って当院へ来院される患者さんが多くいらっしゃいます。もう抜歯しかないと、言われてわらをもすがる思いでいらっしゃる患者さんもいます。
そのような患者さんを拝見すると、そのほとんどがラバーダムを使わずに、薬で治そうとしているのです。つまり、感染のコントロールをきちんとしていない状態で、強い薬を過度に使って生体組織をかえって痛めつけて、痛みを引き起こしているのです。
根管治療の基本は、根管内の感染の除去です。その感染源はお口の中にいる細菌なのですから、根管治療中に細菌を持ち込まないように防御することがいちばん重要です。ラバーダムをせずに、治療のたびに感染を起こして、それを薬で消毒するというのは、本末転倒です。
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