多くの自閉症の幼児期には、身体に触れられることを嫌ったり、未知な事への不安から、採血や歯科x線撮影などの医療行為を頑固に拒否することがあります。そのなかのひとつに、日常的な歯磨き介助を嫌がったり、歯科健診に強く抵抗するケースがあります。歯磨きなどは、この時期の療育の種々の問題の中では小さなことに思えますが、そのまま放置してしまうと、後々大きな問題となってくることがあります。
コロニー中央病院の歯科では、開設以来約30年以上障害児者の歯科診療に当たっていますが、治療に最も苦慮するのが一部の自閉症の人たちです。幼児期から30年以上受診している方も含め、現在は幼児期から50歳代まで、年間約500人近くの自閉症及びその近縁疾患の方々が受診しています。これまでの経験をもとに歯科医療の立場から、その成育段階ごとに分けてその問題点と対応について考えてみましょう。普段でも、どうしようも無い時(かなり高い熱とか、下痢、吐き気)以外は滅多に病院に連れていっていませんでした。歯医者は音も怖いし、何されるか分からないので、普通の大人でも歯医者行くの嫌ですよね・・・
でも、痛みが出る前にマリオを歯医者に連れて行かなければ・・・と思っていました。実は私、結婚する前に歯科医院に務めていました。だから歯の知識は少しありました。虫歯がひどくなって神経までいってしまったら、どういう治療をするか・・・などなど・・・だからこそ、虫歯が小さい時に、ちょっと削って、ちょっと詰めて、お・わ・り の時に連れて行きたかったのです。
自閉症の方の歯科的特徴は、超音波スケーラーで口腔内をきれいに保つことができないことによる虫歯や歯周病がありますが、自閉症特有の歯科疾患はありません。ただし、五感が鋭すぎたり、鈍すぎたりといったことがあるので、治療時には十分な注意が必要です。 自閉症の方の対応としては、TEACCH(ティーチ)の考え方を利用し た行動調整が有効です。特に、視覚的情報が伝わりやすいという特性があり、絵カードによる視覚支援やモデリングが有効な場合が多くあります。当医院で行っているトレーニングはこの行動調整法をもとにして考えられています。お役に立てることもあるかと思いますので、ぜひ一度ご相談ください。
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