人気一家に1本
洗面所の1本を家族みんなで共有していた歯磨き粉が、1人で1本、2本…の時代になってきた。口元の美容意識の高まりや歯周病、口臭対策などパーソナルニーズを反映して、機能を強化した高級歯磨き粉が人気を集めている。(重松明子)
東京・表参道のドラッグストア「アインズ&トルペ」原宿クエスト店では、110種ある歯磨き粉のうち約30種が1千円以上する“高級品”。
「土地柄、女性客が多く、高くても効果がしっかり期待できる歯磨き粉が求められている。夜は口臭対策、朝は美白など機能別に1人で2本使いされる方も目立ってきた」と吉田豊店長。同店での価格帯は128円の普及品から3990円までと上に広がり、8月の月間売り上げは、前年同月の1・5倍に伸びている。
美白機能が上位を占めるなか、売り上げ3位に入った「デンティス」(1260円)はアメリカで人気のタイ製品らしく、「目覚めてすぐキスできる」のコピーがなまめかしい、口臭対策歯磨きだ。睡眠中の唾液の減少で増殖する細菌を抑え、においの元になる硫黄化合物を包み込む環状オリゴ糖を配合している。
「起床時も口の中がスッキリしていると評判です。特に、化粧品口コミサイト『@コスメ』の歯磨き粉部門で1位になり、一気に売り上げが3~4倍に増えた。歯磨き粉も化粧品感覚で選ばれる時代」と吉田店長。
そんな流れを意識し、ローズの香りにクリーミーな泡立ちという斬新な使用感で「歯の蓄積くすみを除去する」という、ライオンの「プラチアス」(1280円)は、発売2年半で販売数400万本を突破。先月、「歯にも、お肌のようなステップケアを」とのコンセプトで、くすみ落とし効果を高める電動歯ブラシと汚れから守る「美容液」を新たにラインアップし、セット使いを提案している。
明治29年に歯磨き粉を発売した老舗のライオンによると、「『一家に1本』だった1980年代から2000年まで600億円台で推移した国内歯磨き粉市場は、今世紀に入り『1人に1本』需要で拡大。ここ2、3年で単価500円以上の高額商品が売り上げの3分の1を占めるようになり、市場規模は700億円を突破した」(オーラルケア事業部の井上洋さん)。
そもそもは江戸時代まで普及していなかった衛生用品。歯磨き粉は本当に必要なのか。
「いらないという歯科医もいます。歯磨き粉の清涼成分や泡立ちによって、不十分な磨き方でもスッキリ磨けたと錯覚してしまう…という事例もありますし」
来月1日、東京・銀座に美容に特化した「ミユキデンタルクリニック オロフェイシャルサロン」を開業する歯科医師の加藤深雪さんはそう指摘した。その上で、「より美しく健康的な歯や歯茎を求めるなら、自分に合った歯磨き粉で手入れすることが重要です」という。
加藤さんは、研磨剤を使わず唾液成分との結合で歯を白くするポリリン酸を使った治療を導入し、患者向けの歯磨き粉として「薬用ポリリンジェルWX」(製造販売元・リジェンティス)を推奨している。
取材がてら歯を磨いてみると表面がツルツルになった。「歯のカルシウムイオンとポリリン酸が結合して表面がコーティングされます。この膜が汚れの付着を防止してくれるんです」と加藤さん。7年間、審美歯科治療に携わるなか、「歯茎の黒ずみや下がり、唇など、治療希望が口元全てに広がっている」と感じているという。
この夏のロンドン五輪で選手が見せた喜びの瞬間など、ここ一番のシーンで存在感が全開になる口だからこそ、お手入れも油断禁物。気づいた人から歯磨き粉が高級化しているのかも?
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