脳出血とは、何らかの原因によって脳の動脈が破れて出血し、脳実質内に出血を形成したものです。微小動脈瘤の破裂が起こり、それに続いて二次的に発生する静脈破綻などが原因となって脳出血を起こします。
脳血管障害の3大疾患である、脳梗塞、くも膜下出血とともに、脳内出血はその内の1つです。富山県、岩手県脳卒中統計では、年間10万人当たり50名前後との報告が多く、脳卒中全体の25~30%前後を占めています。
以前は日本での発症率が、欧米諸国に比べて高い傾向にありましたが、生活環境の変化や高血圧管理の普及とともに、減少しつつあります。全体の発生数および重症例は近年明らかに減少傾向にあります。年齢別発症率では、60~70歳代にピークがあり、男性に多いという特徴があります。
リスクファクターとしては、高齢、性別、高血圧、飲酒、血清低コレステロール値などがあげられます。また、最近では抗凝固療法、抗血小板療法なども重要となります。さらに、高血圧などを伴わない脳内出血では、もやもや病、アミロイド脳症、転移性脳腫瘍、血管腫などが考えられます。原因としては、高血圧性脳出血が60~80%であるといわれています。その他、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、血管腫、脳アミロイド血管障害、脳腫瘍、出血性素因などがあります。
高血圧症以外明らかな原因病変がない出血では、部位別頻度で被殻40~60%、視床20~30%、脳葉、小脳、橋が各々5~10%となっています。被殻出血では、対側の片麻痺、言語障害、眼症状が特徴的です。
特に若年者の出血では、脳動静脈奇形などが疑われます。脳葉出血や小脳出血をきたし、血管撮影でも確認できないoccult AVMが出血源となる例も多いといわれています。さらに、脳動脈破裂は突発性頭痛で発症する例が多いです。動脈瘤が脳組織に癒着、埋没するような形態の場合、出血はくも膜下出血よりも脳内出血が主体となります。中大脳動脈、前大脳動脈動脈瘤で多くみられます。
高血圧の既往を有する例が多く、日中、労作時の発症することが多く、症状としては、突発性の意識障害、局所脳神経症状で発症します。神経症状としては、片麻痺や言語障害、眼症状などがみられます。また、頭痛やめまい、嘔吐のみの発症例もあります。症状としては、持続性または進行性に推移します。再出血による急激な増悪もあります。
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