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「歯周病菌」は全身に巡る

 今までは歯が抜けるだけだと思われていた歯周病ですが、全身にも様々な病気をもたらす原因になっていたことが分かってきました。成人の80%の人が何らかの歯周病に罹っているという話もあります。今回は歯周病が全身に及ぼす影響についてお伝えします。歯の周りについている白い塊プラーク(歯垢)は、食べ物の残りだけでなく70%程度は細菌の塊です。その細菌は歯肉と歯の溝のポケットと呼ばれるスペースで、毒素を出して歯肉の炎症を引き起こします。この炎症が次に歯を支えている骨を溶かして歯周病を引き起こすのです。

では歯周病が大きく進行するのは、どのような時だと思いますか?それは疲れや体の抵抗力が落ちた時です。この急性炎症は、それまであった歯の周りの骨をグッと一挙に溶かしてしまいます。

 

腫れる→落ち着く(あれっ、治った?)→また腫れる→落ち着く(治った?)ことを繰り返していくと、最後にはほとんどの歯の周りの骨が溶かされ歯の支えを失います。結果として歯がグラグラに!!!

 

最近では歯周病菌が歯肉の血管を通して、体のいたるところに流れていくことが注目されています。先日の朝日新聞に歯周病菌が難病「バージャー病」の発病や悪化に関係している可能性があるとの話が掲載されていました。この病気は悪化すると手足を切断することになる恐ろしい病気なのです!

 

これまで「バージャー病」は煙草の影響が大きいとされていました。しかし記事によると、歯周病の細菌が血液の中に入り込み血液の中に血の塊をつくり流れを悪くしている可能性があるとのことでした。煙草は歯周病を悪化させやすくします。これ以外にも歯周病菌が全身に及ぼす影響は以下のようなことがあります。

 

心臓

血液を介して心臓の冠動脈などに血栓を作ることがあり、歯周病が進行していると心疾患になる確率が3倍以上高くなる。

 

体の抵抗力が落ちていたり、介護が必要な方の口の中のお手入れを怠るとプラークの細菌を含んだ唾液が誤って気管に入り、嚥下性肺炎になる恐れがある。

 

糖尿病

インスリンの活動と干渉するため血糖値のコントロールの悪循環を生み出します。歯周病が改善すると血糖値も安定してきます。

 

出産

血液中の歯周病菌の炎症反応が子宮を収縮させたり、胎児の成長に影響を与えることがあります。歯周病による早産のリスクは歯周病でない場合のなんと7倍!


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