口に入った食べ物や飲み物は、食道の入り口から胃へと運ばれます。しかし、のどにある食道の入り口のすぐ隣には呼吸するための気管の入り口(喉頭)があります。気管の入り口のふたは普段呼吸しているときは開いていますが、飲み込むときは食べたものが気管へ流れ込まないように閉じる仕組みになっています。
しかし、この仕組みがうまく働かないことがあります。気管の入り口のふたを閉めるタイミングがズレたり、閉まり方が不十分だと、食べ物や飲み物が誤って気管の入り口から気管に入ってしまいます。これを「誤嚥」といいます。「誤嚥」が起きると、気管に間違って入ってしまったものを吐き出して、のどの中をきれいにしようとする防御反応が働きます。これが「ムセ込み」です。
食べ物や飲み物が、誤って気管の入り口に入ってしまうのはなぜでしょうか? のどの奥には食べたものが溜まりやすいくぼみが2箇所あります。気管の入り口でふたの役割をする喉頭蓋の裏側にあるくぼみ「喉頭蓋谷」と、食道の入口にあるくぼみ「梨状陥凹」です。
この2つのくぼみに食べ物や飲み物がたくさん溜まると、くぼみから溢れ出て気管へ流れ込んだり、息を吸った勢いで食べ物が気管に吸い込まれたりしてしまいます。とくに水のようなさらさらして流れやすい物は、ちょっとした姿勢の変化であっという間に気管へ流れ込んで誤嚥してしまうことがあります。そうすると、あの苦しいムセ込みが起きてしまうのです。
万が一誤嚥してムセ込んでしまった時には、のどの奥にあるものをすべて吐き出してしまうことが大切です。ゴホンゴホンと咳をするだけでは誤嚥したものをすべて吐き出せるとは限りません。
私たちの口はのどよりも上にあります。頭を上げた普通の姿勢ではムセてのどの奥から出てきたものが重力によってまた気管へ逆戻りすることもあります。気管に入ってしまったものやのどのくぼみに溜まったものを確実に吐き出すためには、頭を低く下げた「前傾姿勢」で強く吐き出す方法が効果的です。頭をなるべく低くしてかがむと、口がのどより下きて重力が味方になってくれるので確実に吐き出すことができす。
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