顎を正しい位置に導くために、低周波治療を行うことがあります。顎関節症の方は顎周辺の筋肉が緊張して固まっていることがあります。まずは低周波治療器によって筋肉の緊張をほぐし、かみ合わせを安定させた上でプレートでの調整を行う必要があります。
また筋肉の緊張によって痛みが生じている場合にも、低周波治療が効果的です。噛み合せ症候群の診断のポイントは、安静位と咬合位の関係を調べることです。安静位を調べて記録するためには、筋肉が安静状態でなければならないのですが、もし十分に安静状態でない場合にはできるだけ安静常態に導く必要があります。そのためには低周波治療器を使います。
通常は「あごの力を抜いて楽にしてください」とお願いすればほとんどの場合、あごの筋肉は安静状態になるのですが、噛み合せ症候群が進んで筋肉が硬直している場合には簡単に安静状態になりません。顎を支えている筋肉のうちで一つでも安静ではなく硬直した状態の筋肉があると、そのために顎の位置がかたより、本当の意味での安静位が記録できない場合がでてきます。
筋肉の緊張状態を解きほぐして安静状態に導くためには、低周波治療器の一種であるTENSという装置を使います。検査する前にこの装置を約60分ほど使用して、筋肉のリラクゼーションをはかります。
TENSを使用する前に筋電計をもちいて筋肉の安静の度合いを計測しておき、使用後に再び計測して筋肉の安静状態を確認します。筋肉も関節も完全にリラックスした状態を確認した上で下顎の安静位を計測して記録します。咬合位の計測は普段いつも噛んでいる状態で噛んでもらい、そのままの状態を記録します。
このデータは噛み合せ症候群の重い症状をもっている患者さんのものですが、あごの力を抜いてリラックスした時のあごの位置と歯を噛み合せたときのあごの位置を示しています。
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