骨が折れると「骨折」と言いますが、歯の場合は「破折(はせつ)」と呼びます。口の中で普段目にしている白い部分(歯冠部)が割れたりかけたりすることを歯冠破折(しかんはせつ)と呼び、歯茎の中にある歯の根っこの部分(歯根)が割れたりかけたりすることを歯根破折(しこんはせつ)と呼んでいます。
歯根破折は、ほとんどがそれまでに神経を取り除いたりした治療が行なわれた歯に起こります。神経を取り除いていない生きている歯には、ごくたまに起こる程度で次のような症状がよく見られます。
過去の常識では、柔らかい象牙質を補強するためには、硬くて丈夫な材料を用いるべきだという考えが浸透しており、人工的な土台の支柱には金属が用いられてきました。歯根破折は、「さし歯」の支柱に用いる金属と歯の象牙質の硬さが大きく異なるために、噛んだ力が硬い金属から柔らかい象牙質に均等に分散して伝わらず、特定の部分に力が集中して象牙質がひび割れる現象です。したがって、歯根破折を防ぐには金属の支柱を使わないことが最大のポイントということになります。最近(2003年)になって、金属の支柱に替わる材料としてグラスファイバー製の支柱が登場し実用化されました。グラスファファイバー製の支柱は金属の支柱に匹敵する強度を持ち、象牙質と近似した適度な弾性を持っているため歯質へのダメージを軽減することができ歯根破折を防ぐことができるのです。
歯根破折の問題解決に早くから取り組んできた当院の眞坂院長を中心とした研究グループ「接着臨床研究会」が、10 年以上にわたって研究開発し2008年に実用化させた治療システムが、i-TFC(in situ Treatment Filling Core) システムです。これは、歯根破折の直接的な原因とされる支柱材料の改良だけでなく、接着治療を基礎にして根の治療から支台築造(人工の歯を支える土台)までを一貫して行える根管治療システムです。
我が国では、MMA-TBBレジン(スーパーボンドC&B、SBと略)を用いた接着によるVRFの保存治療が1982年から真坂信夫により試みられはじめ、1997年時点での臨床成績が「歯科用接着性レジンと新臨床の展開」(クインテッセンス出版、2001年)の中にまとめられている。機能維持期間は場合によりおよそ次のようになっている。抜歯せずに口腔内で接着する方法では、1982〜85年の症例を限定した場合には12/13例が10〜15年、適応を拡大した86〜88年では12/19例が9〜11年、その後の89〜97年では21/25例が1〜8年機能している。抜歯して口腔外で接着してから再植する方法では、89〜92年では16/21例が5〜8年、適応を拡大した93〜94年では13/18例が3〜4年、接着した破折部を回転させて歯槽窩内に再植する方法では95〜97年で42全例が1〜2年機能している。歯科x線は便利です。
歯は若い頃よりも石灰化が進み,歯髄腔は細くなります.歯根膜の厚さや弾力に違いがでてきたり,既に歯の欠損や修復した歯もみられます.高齢化に伴って歯がもろくなるというより,咬み締める回数が多い,より硬固物を好むことで歯根破折につながると考えます.ストレスの発散は若い頃は体を動かすことで補うことが多いのですが,高齢になると同じようなストレスに少しずつ対応できなくなってきますし,体は動かさなくなります.また,社会的地位や立場からストレスの種類がより精神圧迫につながるのかもしれません.いずれにせよ,知らず知らずにより咬むことなどで側頭連合野に刺激を送り,ストレスを解消しているのかもしれません.その結果が,歯根の破折です.気を付けましょう.
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