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歯周病原細菌

 口腔内の疾患を引き起こす病原性のある細菌はどこからくるのでしょう。最近では、さまざまな調査や研究からS.mutansなどのう蝕病原細菌は、母親をはじめとする家族から垂直感染することがわかってきています。

歯周病原細菌は夫婦などに同一株などがみられ、夫婦間での水平感染が示唆されます。いずれにしても、何らかの形で口腔細菌は家族への感染が認められることから、愛する家族の口腔を守るためにも、自分自身の口腔ケアを徹底したいものです。出生の翌日から検出される一部のレンサ球菌とは異なり、歯が生えていない乳児には、Mutans Streptococci(ミュータンス レンサ球菌群)は検出されません。これまでのさまざまな研究で、感染のリスクが常にあるわけではないことがわかっており、Caufieldらによれば、生後19ヶ月から31ヶ月(平均26ヶ月)の間に初感染が集中しており、彼らはこの時期を『Window of infectivity:感染の窓』と呼びました。

 

この時期は、ちょうど乳臼歯が生えだしてから生え揃うまでの期間に相当し、この時期の乳児そして母親をはじめとする家族の口腔ケアを注意し、感染時期を遅延させるだけでもう蝕リスクが減少することが複数の研究により示されています。しかし、感染予防するために親子のコミュニケーションをやみくもにとがめることはできるだけ避けたいものです。とはいえ全く知識もなく、例えば奥歯がはえてからも食事などを母親が噛み与え続けていれば感染は免れないでしょう。

 

できれば母親をはじめとする家族には正しい感染の知識を持ってもらい、接触を避ける方向ではなく、自分自身の口腔を清潔に保つことが子供の口腔衛生につながることを理解し、口腔ケアに臨んでもらうことが望ましいでしょう。

 

実際に母親教室で妊婦に対しての徹底した口腔衛生指導(ブラッシング指導や噛み与えの影響など)を行なった結果、母親教室受講群は歳半までう蝕を全く作らなかったという報告もあり、家族の正しい知識と対策がいかに重要であることがわかります。

右のグラフは、初産の母子を子供が3歳になるまで母親の口腔管理を行ない、その後7歳になるまで子供の口腔を追跡調査したもので、3歳までの子供への感染は何も行なわなかったグループに比べてう蝕病原細菌の検出率が非常に低く、その後低いまま保たれているのがわかります。


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