バイオフィルムを構成する細菌の中で、どの菌が健康な口腔に存在する常在菌で、どの菌が病原細菌と言われるものなのでしょうか。口腔内には約700種の細菌が存在し、プラーク1mgには1億個以上の細菌が存在しています。
う蝕病原細菌として注目されているのは、強い酸を産生し病原性バイオフィルムの形成に深く関与するS.mutans、S.sobrinusといったMutans Streptococci(ミュータンス レンサ球菌群)や、非常に強い酸を出し自身も耐酸性の高いLactobacillus属などです。また歯根面のう蝕ではA. viscosus等も検出され、その関連性が注目されています。
歯周病原細菌は、う蝕以上に多くの細菌等が関与し、その同定も難しいと言われてきましたが、近年のめざましい研究成果によってさまざまな細菌の病原因子も明らかになってきました。歯周病原細菌の中で青字の3菌種、A.actinomycetemcomitans、P.gingivalis、T.forsythensisについては、さまざまな研究から強い関連性が判明し、1996 年の世界歯周疾患ワークショップで歯周病原細菌として認められたものです。
その後、SocranskyらはP.gingivalis、T.fosythensis にT.denticola を加えた3菌種をRed Complex(レッド・コンプレックス)と呼び歯周病と強く関連する菌として分類しています。口腔内に存在している数百種類の細菌を、歯周病への関連が高い順に分類し、ピラミッド状に模式図化したものです。
Red Complex(レッドコンプレックス)と呼ばれる3菌種(P.g.菌、T.d.菌、T.f.菌)は、ピラミッドの頂点に位置し、重度の歯周炎に最も影響を及ぼしていると言われています。
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