前歯の見た目を気にされて来院された患者さんです。レントゲン写真を見ると、左上の真ん中の歯根の先に病巣があるのがわかります。ご本人は、普段、何の症状もありませんでしたが、歯をたたいたり、病巣の辺りの歯肉を押してみると違和感があることに気付かれました。 根の治療を始めると、根の中から膿が大量に溢れ出てきました。
「寝た子を起こす」みたいな感じで、今まで慢性的に無症状で経過していたのが、治療を開始すると、一時的に痛みが増したり、腫れたりします。落ち着いてきますので心配しないで大丈夫です。
歯根の先に膿の袋ができて、歯ぐきが腫れたり痛みがある場合、 治療法として根管治療を行うことで治癒に向かいます。しかし、かぶせた冠や根管のつめものが除去できない、根管が曲がっているなどで根管治療ができなかったり、 予後が不良な場合には歯根の手術をすることで抜歯せずに助けることができます。
この手術は歯根端切除術と言って歯肉を切開し、骨に小さな穴を開けて膿の袋を取り除き、マイクロミラーで原因を究明し、原因である歯根の端を1から2mm切断します。そして超音波ダイヤモンドチップで逆根管充填窩洞を形成した後、安全性の高い接着性セメントを流し込み細菌の繁殖部を閉鎖、歯肉をもどして縫合します。 必要によって、歯根の亀裂などを確認するために、マイクロスコープを使って手術をする場合もあります。手術時間は約1時間です。
予後について、当科の手術成功率は90%以上で良好です。 再発はまれにありますが、その原因は歯根そのものが腐っている場合や、歯根に亀裂や破折がある場合などです。 予後をチェックして抜歯にならないために、手術の1、2、3年後に経過観察のため来院していただきます。病巣の再発がないか、歯根のまわりに正常の骨が再生されているかなどをチェックします。可能な限り根管治療を優先し、不可能や予後不良の場合にのみ歯根端切除術を行います。手術した症例を紹介しますが、ほとんどの患者さんはこのように良好な経過をたどります。
根尖病変が生じて歯肉に腫脹や痛みが出現した場合の治療は、適確な根管治療と緊密な根管充填であることは言うまでもありません。この治療によってほとんどの根尖病変が治癒に向かうが、数%の歯においては根管が閉鎖していたり、曲がっていたり、根尖が破壊していて根管治療が行えず、歯を助けるために歯根端切除術が適応となる。
歯根端切除術を行い予後不良で来院される患者さんを検討してみると、失敗の原因のほとんどは逆根管充填の不備であることが分かった。逆根充材に求められる条件とは、1)細胞毒性がない、つまり安全であること、2)根管を封鎖するために象牙質との接着性があること、3)経年的に材質が安定していることである。現在、多くの歯科医院や病院歯科口腔外科では逆根充材にアマルガムやEBAセメントを用いているが、1)2)の点で劣る。これらの材料では根尖部における異物反応や根管封鎖不良による細菌感染のため炎症が生じ、歯肉の腫脹や疼痛が出現してしまっている。
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