口をへの字に曲げた厳しい表情」、「口を尖らせた不満の態度」など口はある種の感情を象徴する部分となっています。わたしたちの顔には眉、眼、鼻、口などがあり、これらが約30種の表情筋によって動くことで複雑で微妙な表情となり、この表情筋が衰えると顔にシワが表れてきます。
高齢者にしばしばみられる顔のシワは、その人の長期間にわたって示してきた表情の軌跡から推測される生涯を暗示しています。
「うれしいとき」「怒ったとき」「悲しいとき」「楽しいとき」、人は感情を顔に表します。
そのとき、顔の表面を覆う多数の表情筋と呼ばれている筋肉が緊張して、「喜怒哀楽」の表情をつくり出しているのです。表情筋は顔の表情をつくるだけでなく、目や口の開け閉めのときにも働いています。
そのため、目や口元の動きと表情とは互いに関係し合いうれしいときは目を細めたり、不満なときは口をとがらせたりするのです。反対に無表情のときはほとんどまばたきをしていませんし、口元もあまり動いてはいません。このように、表情をつくる筋肉と目や口を動かす筋肉とが同じですから、不自然な口元が意に反した表情をつくり出してしまうこともあるのです。
そして、顔のなかでも口とその周囲は最も可動範囲の広い部分です。この表情筋は、顔面神経と自律神経の支配を受け、随意運動と不随意運動の二つがあることが特徴となっていて、意識して眉や鼻などを動かすこともできますが、自分の意志では表情を変えられない場合があります。
そのため、顔の大きさや色、眼、鼻、口などの形態と配置や表情はその人を識別するための固有のものであると共に、感情を表現する「心の窓」ともなり、コミュニケーションに大きな役割を果たしています。すなわち、毛や衣服で覆われず、しかも正面を向いているヒトの顔は、裸の部分を最もあらわにしたところであり、相手とコミュニケーションをするときにほとんどの情報がこの顔に集中しています。
「明眸皓歯」といわれるように、白い歯ときれいな歯並びはその人の健康状態を象徴するものです。このとき、むし歯・歯周病とそれに基因する歯の喪失は、顔の対称性や審美性を損ない、成長期にみられる指しゃぶりや開口などによる口唇閉鎖(リップシール)の不足は、歯並びの乱れを引き起こします。
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