確かに、妊娠中はむし歯ができやすかったり、歯肉炎を起こしやすかったりします。俗に、妊娠中だと歯のカルシウム分が胎児にとられるため、母親の歯が弱くなると言われていますが、歯は一度歯ぐきから生えた後、身体のカルシウム代謝と関係がなくなりますので、歯からカルシウム分が取られてしまうことはありません。
妊娠中は生活のリズムの変化やつわり等で食生活が変化し、歯磨きがおろそかになったり、口の中の衛生状態が悪化することがあります。また、女性のホルモン分泌のバランスが変わり、妊娠性歯肉炎を起こしやすくなります。したがって、妊娠中は規則正しい食生活をして、歯磨きを丁寧に行い、お口の中を清潔に保つことが必要です。また、歯周病により早産・低体重児出産のリスクが高まることがわかっています。妊娠を予定している場合はぜひとも歯科健診を受けていただきたいものです。
ふつう、妊娠していない女性が一日に必要とするカルシウム摂取量は600ミリグラムですが、妊婦の場合は、900ミリグラムに一気に上昇します。そのため、妊婦はカルシウム不足で歯が弱くなりやすいと思われがちです。
確かに妊婦は歯のトラブルを起こしやすいものですが、主な原因はカルシウム不足ではなく、女性ホルモンの過剰な分泌にあると考えられています。女性ホルモンには、ある特定の種類の歯周病菌を増やす性質があります。そのため、妊娠して女性ホルモンの分泌が過剰になると、歯グキが炎症を起こし歯磨きがしづらくなり、その結果として、歯の健康が損なわれやすいのです。
また同時に妊娠中は唾液の分泌が減ったり免疫力(病気から体を守る力)が衰えたりしやくすなるため、歯周病や虫歯を招く危険がより高くなります。とはいえ、カルシウム不足が進むと歯や骨が弱くなるのも事実。妊娠中は、丁寧な歯磨きと並行してカルシウムの補給もこころがけると良いでしょう。
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