片麻痺等があるとうまく歯磨きできなくなります。脳卒中による片麻痺は手指のみならず、口腔内にも及びます。具体的には舌や頬の動きが悪くなります。食物残渣がある場合、ふつうは舌を使ってこれを巧みに除きます。また、歯の間に物が詰まった場合は頬や舌を使って吸って取り除こうとします。
このような口の動きが上手にできなくなります。その人の機能に合わせた指導が必要です。実際に歯磨きをしてもらい、それを観察して磨き残しをなくすにはどうしたらよいか指導して下さい。歯ブラシの動かし方ばかりでなく、歯ブラシの柄も握りやすく工夫することができます。歯科医師に聞いて下さい。
片麻痺患者の多くは運動障害のみならず感覚障害も伴っています。例えば、触覚や痛覚が鈍麻しているのです。ですから自分では口腔内に食物が残っていたり、歯の表面が汚れていることに気付きにくいのです。まず口の中が汚れていることを自覚してもらうことが先決問題です。鏡をみて点検する習慣をつけるなどの指導が必要です。坐位が取れなくても毎日の口腔ケアーはとても大切です。
座位が取れないだけで他の身体機能に異常がないというケースは希で、通常、他の機能障害を伴っているので介助が必要です。衰弱が著しい場合は歯ブラシを使っての口腔清掃は困難です。この場合、スポンジブラシや綿球などで汚れを拭うだけで終わる場合もあります。消毒効果のある洗口液を併用すると効果的です。介助磨きはつい力が入りがちです。痛みを与えないよう注意しましょう。
また、座位がとれないとどうしても介助者が不自然な姿勢になりがちです。仰臥位の場合は、できるだけベッドの端に寄ってもらうと介助しやすくなります。口の中で歯ブラシやスポンジ・ブラシを動かすと唾液が出てきます。これはとても良いことですが、唾液でむせる人もいますから側臥位の方が安全でしょう。この場合、麻痺側が下にならないように注意します。
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