要介護者の口腔ケアは、口腔機能のリハビリテーションやQOLの向上といった目的の他に、口腔病変の早期発見と早期治療にも重要な役目を果たします。次に述べるような状態に気づいたら、歯科受診が必要です。1.虫歯や歯周病で歯が痛い時。2.入れ歯があわず痛くて物が食べられない時。3.顔面を打撲して、口の中を切ったり、歯がぐらついたり、顎の骨が折れた時。4.虫歯や歯周病からの感染や膿瘍ができた時。5.口腔粘膜の異常(白斑、発赤、痛みなど)がなかなか治らない時。6.口腔内のできものやただれに気づいた時。
特に口腔癌の早期発見、早期治療がとても大切です。迷わず歯科を受診して下さい。口腔の機能である捕食、食塊形成、咽頭への移送は随意運動といって自分の意志によって調節することが可能な運動ですので、この機能が障害されたとしても筋肉の再教育訓練、筋力強化訓練、運動パターンの反復学習などの運動療法により機能が改善可能と言われています。実際の訓練には間接的訓練と、直接的訓練があります。
食べ物を用いずに嚥下器官への刺激や運動を加えることで嚥下機能を改善させる訓練です。食べ物を用いないため肺炎などのリスクが比較的小さいので、意識状態が安定しない患者や重篤な誤嚥が疑われる患者にも行うことができます。また、摂食前の準備体操として行うと誤嚥を減らす効果があります。実際に食べ物を用いた訓練法です。したがってこの訓練は嚥下反射が確立して、慎重に食べることの条件設定を行えばこの人には安全な嚥下が可能となった段階から行う訓練です。「誤嚥」や「窒息」の危険性もありますが、嚥下機能は,安全な嚥下運動をすることによってもっともよく訓練されるため、安全に嚥下が可能な人にとっては最も効果的な訓練法です。あくまでも安全性に留意して、段階的に難度を増して行くことが重要です。
これらは患者さんの病態によって、必要な訓練が決まりますので、効果的な訓練を行うためには、専門家による評価を行って病態を把握し、的確な訓練法を選択する必要があります。
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