乳歯は、永久歯と比較して虫歯になりやすいのですが、同じ乳歯であっても、生えたばかりのことは特に弱くできているものです。このような点を勘案すると、生えはじめたころから4、5歳ころまでは、特に子どもの歯の健康に気をつける必要があるでしょう。
唾液の中には、歯を強くしていく成分が含まれていて、唾液にさらされることで歯は強くなっていくのです。つまり、歯の表面を形成しているエナメル質の部分が、唾液の中に含まれるミネラル成分によって強化されていきます。乳歯は、唾液による強化が完成しないままに生えかわっていくと考えてよいでしょう。
当然のことながら、永久歯も同様に、生えたばかりの頃は未完成であって、虫歯菌の浸食には非常に脆弱にできております。こうした時期には虫歯ができやすいあかりではなく、いったんできた虫歯の進行の速度もまた非常に速くなってきます。
このような点を考慮すると、歯が生えかわる小学生のころの幼児(満1歳から小学校就学までの子供)の時期から思春期にかけて、歯の健康には特に注意が必要となります。年齢で言えば、6~7歳から17~18歳程度まで、人によっては20歳くらいまでは要注意時期に該当します。
20代に入ると完全に成人の歯が形成してしまうと、さまざまな悪条件にもかかわらず、人間の歯はそう簡単に虫歯にはならなくなります。また、虫歯になっても、その進行を食い止めようと、虫歯と戦う力ができあがってきます。
そして、年をとって高齢になると、また虫歯ができやすくなってきてしまいます。この理由には、さまざまな要因が関わっているのですが、ひとつの要因としては、唾液の分泌が少なくなってくるために、歯を守るミネラル分が少なくなってくるからです。これ加え、高齢者は、歯周病や歯肉炎の患者さんも多いのですが、こうしたことも虫歯が悪化しやすい原因のひとつとなるのです。
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