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女性特有の歯周病

 高齢化社会を迎えた現在、特に中高年の患者の口腔の健康を維持増進させることは、生活の質の向上の面からも重要な課題の一つである。特に男性よりも平均寿命で7年長い女性の口腔の管理については一層の理解が必要となる。近年は歯周医学として歯周病を医学的背景のもとに理解しようとする流れがあるが、この面からも女性特有の口腔の問題を認識するために、一般医学の様々な分野との協力体制も必要となっている。

歯周病は、初潮、月経、妊娠、閉経とホルモンバランスの変化が多い女性は、男性と比較して歯周病になりやすいです。女性には、思春期性歯肉炎、妊娠性歯肉炎、妊娠性エプーリスなどがあり、特に妊婦さんは注意が必要です。

 

女性には男性とは異なった遺伝的背景やホルモンの違いがあり、そのために女性に特有な口腔症状が発現するので、十分に認識し、歯科治療を進める必要がある。女性は生涯の間に、いくつかの節目となる時期を経験する。10代前半に思春期を迎え、やがて多くの女性は結婚して、妊娠、出産を経験する。子育てを経て、中高年期には更年期を迎える。そしてこのような身体の大きな変化がある時には、歯周組織や口腔粘膜にも特有の症状が現れる。

 

1999年に米国歯周病学会では、1989年に提唱された歯周炎の分類を大幅に改めて、新しく歯周病の分類を発表した。この分類では以前には含まれなかった歯肉の病態を詳細に分類し、歯周炎については慢性歯周炎と侵襲性歯周炎そして背景に全身疾患の関与する歯周炎の3つに大別している。

 

しかし、それぞれの歯周炎の臨床疾患としての違いが病理学的に明らかにされ、その発病の機構が明確にされているわけではない。基本的には歯周病は複雑な口腔環境で構成されるバイオフィルム(Biofilm)による感染症であり、それに対する生体の応答のきわめて多様な個体差(宿主応答の個体差)によりその発現が修飾されるものと理解できる。

 

歯周病の発症と進行には、さまざまな危険因子が多かれ少なかれ関与している。局所のバイオフィルムの形成を促進する局所因子(従来プラーク・リテンション・ファクターと呼ばれていたもの)の他に、全身的因子(女性における女性ホルモンの変化、糖尿病、好中球機能不全、HIV感染症します。

 

その他の全身疾患や遺伝的背景など)、精神的心理的因子(明確な研究データはないが、ストレスの影響は生体の免疫系を大きく障害し、その結果、炎症性病変を促進すると考えられる)、生活習慣的要因(特に最大最強の危険因子とされる喫煙、多量の飲酒、食習慣、運動不足など)、社会経済的環境(教育水準、職業的背景など)といった多数の複雑な背景のもとに多様な病態を呈する。

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