骨組織は絶えず吸収と形成を繰り返しているが、吸収率と形成率に差が生じ、形成率が減少すると骨粗鬆症が生じる。骨組織は皮質骨と海綿骨で構成されているが、骨粗鬆症になると、外側にある皮質骨はその厚さが減少し、内側にある海綿骨では骨梁という骨組織の土台となっている部分が減少し骨がカスカスの状態となり、骨の強度が落ち、骨折を起こしやすくなる。
臨床的に問題となるのは、老人性の骨粗鬆症で、加齢と伴にその発症率は増加し、特に女性に多く、更年期以降に急増する。日本骨代謝学会で1996年に定めた診断基準によると、骨の量(骨量)が若い成人の70%未満を骨粗鬆症とし、70~80%を骨減少症と呼んでいる。女性では閉経後10年以内に80%未満になった場合を閉経後骨減少症と呼称し、骨粗鬆症予備軍と考えられている。
骨粗鬆症は原発性と続発性に分類される。前者はさらに、若年性、閉経性、老人性に分類される。後者の続発性骨粗鬆症は、ある原疾患に基づいて骨粗鬆症が引き起こされる病態で、甲状腺機能亢進症、糖尿病、骨髄疾患、結合組織病などの病気やステロイド剤の投与を受けている場合で、骨塩量が減少するものである。これらは年齢性別とは無関係で、原因疾患が改善すれば骨の状態も回復する。
エストロゲン欠乏と歯周病発症との関連について検討した報告がある。研究対象は25~74歳の女性で、これを閉経前と閉経後の女性に分け、歯周組織の状態を比較した結果、閉経後の女性は閉経前の女性に比べ付着の喪失は大きいが、閉経後もHRT(エストロゲン補充療法)を受けている女性は受けていない女性に比べて付着の喪失が悪化するのを抑制されたということである。
そして閉経によってもたらされる歯槽骨吸収は、HRTによりかなり抑制されることが認められ、閉経後の女性を対象に、適切なカルシウム摂取が骨粗鬆症や歯周病のリスクを減らすことができるか否かについての介入試験が計画されているという。
骨粗鬆症と生活習慣との関係についての報告によると、骨粗鬆症と最も著名な関係が認められたのは喫煙習慣で、非喫煙者を1とした場合、喫煙者では喫煙本数が多いほど骨粗鬆症の危険度が高くなり、1日15本以上の者では相対危険度は4倍であったという。
一方、骨粗鬆症のリスクを低くしていた要因は緑黄色野菜、魚介類、大豆製品、牛乳など毎日カルシウム補給源となっている食物の頻回摂取であった。緑黄色野菜は、タバコの影響で体内に大量に産生された活性酸素に対して、βカロチンやビタミンCのような抗酸化物資が抑制的に働き、その相対危険度を下げていると考えられている。
喫煙習慣は歯周病の発症と進行の最も重要な危険因子であるばかりでなく、特に女性にとっては男性よりその影響を受けやすいので、歯周病で骨粗鬆症の患者に対しては、歯周治療と平行して、カルシウム摂取などの栄養面やホルモン分泌などの面への配慮を考え、治療を進める必要がある。
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