喫煙が体に良くないことは誰もが知っていることですが、インプラントを行うにあたっても良くないということが分かってきています。喫煙からくる血管収縮、血流阻害、白血球の機能障害などがマイナス因子となってインプラント治療に悪影響を及ぼすらしいのです。特に、骨再生療法を行う場合には、喫煙によるリスクが高まるようです。
実際にどの程度リスクが高まるかについては、ある研究報告を参考にしてみましょう。1993年に行われた研究によると、非喫煙者が 4.7% の失敗率だったのに対し、喫煙者では 11.3% の失敗が見られたといいます。特に上顎前歯の成績はかなりの差が認められています。インプラント治癒期間での禁煙は成功率を高めるといわれます。それ程深刻に考える必要も無いとは思いますが、この機会に禁煙するというのも手かもしれません。
喫煙と生活習慣病の一つである歯周病との関係は、ビタミンCの破壊とそれに伴うコラーゲン線維の生成の低下、メラニンの沈着などが割合早くから言われていましたが、喫煙への警鐘となるほどのインパクトはなかったようです。 しかし、ここ10年の間で、正確な統計に裏付けられた報告がされています。
タバコを吸うことによる免疫力の低下は、歯周病などの病気にかかりやすくなります。そして、タバコの有害物質が、歯の周りや肺の中に沈着すると、これを取り除く白血球が大量の活性酸素を放出します。超音波スケーラーは役に立ちます。
タバコの煙には、四千種類以上もの科学物質が含まれ、このうち六十種類には発がん性があります。 主なものとしてタール、ニコチン、一酸化炭素の3つが知られています。
喫煙により、歯茎の毛細血管が収縮し血行が悪くなるので、根管治療が遅れたり、インプラントと骨の結合を阻害したりします。 歯周病をきちんと治療してからインプラント治療を行った場合、初期固定が得られない原因のほとんどが喫煙です。 ピーター・モイ博士がインプラント患者540人(インプラント2194本)を対象に調査した結果、全体の失敗率は5.92%でしたが、喫煙者の失敗率は11.28%で、その失敗率は2倍近くなりました。インプラントを入れると決めたときから、手術後の1〜2ヶ月までの間は、禁煙をし、インプラントを長持ちさせましょう。
上顎の奥歯に骨がなく上顎洞挙上術(詳細はインプラントの特殊な治療を参考にして下さい)を行ったり、骨の高さや幅が少ないために骨増大法であるGBR法(詳細はインプラントの特殊な治療を参考にして下さい)を行う必要性があるケースです。また喫煙者の中でもヘビースモーカーといわれる方です。骨の再生力や手術後の治癒が明らかに悪いためです。インプラントは自費診療ですので、高額な治療費がかかります。ヘビースモーカーの方がインプラントをしても非喫煙者と比較するとダメになる確率は高いのが現状です。