矯正治療は決して簡単でないことがわかった上、他の歯科医院で矯正治療中或は矯正は終わってというか中断してしまった患者さんはまた他の病院は相談することが非常に多かったことでした。こういった相談をされた場合、仮にとんでもない仕上がりであったとしても、担当の私としてはひどい状態ですとは決して言えません。安易に前医の治療を批判する医師は信用しないほうが賢明です。どんな理由でそういう結果になったのかはわかりません。また、安易な批判は前医の名誉を毀損することにつながります。
ほかの3名についての相談は深刻なものでした。
3人に共通していることは 治療の術式がマウスピース矯正・床矯正装置だったことでした。
ここで問題です。
3人はどうして当院に治療にこられたのでしょうか?
当時の状況です
床矯正装置がいけないのではなく、床矯正装置で治療可能な症例とそうでない症例があります。
つまり。すべての治療を床矯正装置で治療することは不可能です。
これはぜったいにまちがっておりません。
他にはこういった症例でした床矯正装置が悪いのではなく、床矯正装置で治療できない症例もたくさんあるということです。
つまり、3人の担当医に共通していたことは
床矯正装置以外の方法ができないということでした。いわゆるワイヤー矯正治療の場合は針金を曲げる技術や歯面に正確にブラケットをつける技術など基礎的なトレーニングを十分に受ける必要がある反面、 マウスピース矯正や床矯正装置は歯型を取るだけで作製できます。
つまり、歯型をとるだけなら歯科医師でなくてもできますし、卒業したばかりの新人の先生でもできます。
特に小児の矯正は一見簡単なようで奥が深く、予想外の顎の成長などもあります。
きちんと検査をして診断をすることは当然のことですが、治療方法にバリエーションがないといろいろな対応ができません。
患者さんサイドにしてみたら、取り外し式の装置ならお手ごろだわなんて気持ちで治療をはじめすのでしょうけど、それで治らない場合、次の打つ手はあるのかどうかが重要です。
私自身、少なくみても2000人以上の患者さんと接してきましたが、大きなトラブルはありません。
理由は簡単です。
患者さんに対して、矯正治療は決して簡単でないことを十分説明します。
また、1つの方法で治らない場合でも他の方法でアタックします。
その場合でも契約した期間は追加費用等一切かからないことも説明します。
顎の成長等で最悪な状況になったとしてもリカバリーする方法をもっていることを十分説明します。
患者さんは安い、簡単、早い治療を受けると期待していますが、歯医者としては矯正治療の詳しい情報、或は、最悪な状況になった場合の対策について、十分説明して、患者さんの納得していただいた後手術するのを重要です。