在宅での口腔ケアの場合、本人及び家庭介護者は、目的・重要性・継続する事の大切さを十分理解して行う必要があります。十分な口腔ケアが行われないと、むし歯、歯肉炎、舌苔、口臭などの発生、不潔な口腔からの誤飲物が原因の肺炎(嚥下性肺炎)、口腔カンジタ症が引き起こされます。これらの疾息が、経口摂取を妨げ、十分な栄養補給が出来ない事や、食べる事の楽しみを奪ってしまう事を十分理解し、継続して口腔ケアを行う事が肝要です。
また、不適合な義歯、歯周病により抜けそうな歯、虫歯により破析の危険のある歯の誤嚥により重篤な状態に陥る事のないよう、異常の早期発見に留意し、介護者は、ホームドクター的役割を果たすのが必要になります。以上の事から口腔ケアは、本人の状態により、留意点、重点個所、方法が異なる為、普段から歯科医の検診を受け、適切なアドバイス、方法を受けておくとよいでしょう。
一般家庭にあるもので口腔ケアが効果的に行える道具:
うがいの上手にできない方、忘れた方にはスプレーの空容器や先のとがったビニール容器で歯と顎の間、歯と歯の間、舌の上などにぬるま湯を飛ばして洗い流します。
吐き出し容器はペットボトルや牛乳パックをカットしたり、ラーメンカップ、ヨーグルトなどの廃物を利用し、簡単に水を流して捨てる。
腕の力が弱く、歯面に通常のハブラシが届きにくい場合は、ハブラシを太めのローソクの火にかざし柔らかくなれば自由にハブラシを曲げ当たりやすくすることができます。
片手の義歯磨きは固定された石鹸やタワシ置きにタワシを固定し、義歯を動かして磨きます。また両面吸盤に爪磨きタワシを固定するのもよいでしょう。
要介護者の口腔ケアは、口腔機能のリハビリテーションやQOLの向上といった目的の他に、口腔病変の早期発見と早期治療にも重要な役目を果たします。次に述べるような状態に気づいたら、歯科受診が必要です。
1.虫歯や歯周病で歯が痛い時。
2.入れ歯があわず痛くて物が食べられない時。
3.顔面を打撲して、口の中を切ったり、歯がぐらついたり、顎の骨が折れた時。
4.虫歯や歯周病からの感染や膿瘍ができた時。
5.口腔粘膜の異常がなかなか治らない時。
6.口腔内のできものやただれに気づいた時。特に口腔癌の早期発見、早期治療がとても大切です。迷わず歯科を受診して下さい。