失活歯のホワイトニングは、外傷や大きな虫歯などによって神経がなくなった歯(失活歯)が変色した場合に行うホワイトニング法です(生活歯、神経のある歯には不可)。歯の中に高濃度の漂白剤を入れて、内側から歯を白くします。失活歯の変色は歯の内部に原因があるため、内側から白くするウォーキングブリーチは、歯の外側から白くするオフィスブリーチやホームブリーチよりホワイトニング効果が高く、歯表面の仕上がりもより自然な感じになります。
1週間ごとに内部の漂白剤を交換し、通常、2~3回の治療で大幅に色調を改善することができます。歯の変色により歯ぐきが黒くなっている場合、ウォーキングブリーチで歯を明るくすることにより歯ぐきの色調も改善できます(メタルコアが原因の場合は効果がありません)。変色した失活歯をオールセラミッククラウンやポーセレンラミネートベニアで治療する予定の場合でも、内部の歯の色調を改善することでより審美的な結果を得ることができます。
ウォーキングブリーチ法は、神経を取った歯を内側から漂白する方法です。神経を抜いた歯は、しばらくすると変色して黒くなってしまう場合があります。歯の内側から変色してしまっていますので、外側から漂白してもあまり効果がありません。神経を取ったときに開けた歯の裏側から、もう一度穴を開け直して、歯の中の神経があった空洞の中に漂白剤を入れます。
しかしウォーキングブリーチは、ホワイトニング剤を完全に密封してしまうため、根の治療が不十分だったり、深くまでホワイトニングを行ったりするとホワイトニングの時に発生するフリーラジカルが外に出られないため歯の根を通して歯ぐきに拡散し、根や歯の周りの骨が溶けてしまうことが学会などで報告されています。
ウォーキングブリーチ中に神経がないのに痛みを感じた場合は、すぐに中断したほうがいいでしょう。またウォーキングブリーチは効果が不確実な欠点もあります。ウォーキングブリーチで歯が白くならない原因は、いくつか考えられます。
薬剤が漏れている―薬剤が漏れていると、当然効果は薄れてしまいます。薬剤が漏れている場合は、お口の中で薬品のような味がします。虫歯や死んだ神経、詰め物などが残っている―物理的に取り除かないと、効果が十分に出ないことがあります。一部分が黒かったり、大きい詰め物がある場合は、効果が分かりにくくなってしまいます。
薬剤の濃度が低いか古い―通常は35~38%の薬剤を使用しますが調合によっては濃度が低くなる場合があります。これは歯科医師が意図的に行っている場合もありますし保存していた薬が古くなっている場合もあります。ホワイトニング技術が発達しインターナルブリーチという方法でウォーキングブリーチをしなくても神経がない歯を白くできるようになったため、リスクが高く効果が不確実なウォーキングブリーチは現在では一部の歯科
医院を除いてあまり行なわれていません。