床矯正とは、取り外しができるタイプの装置を使った予備(1次)治療で、顎を拡大することを主な目的にしています。このページではその床矯正について、くわしくご説明します。床矯正は顎の拡大治療です。従来の矯正治療では、歯を抜くことで歯が並ぶスペースを確保して矯正をしていました。一方の床矯正においては、主に小学生くらいの時期(特に低学年が有効)にプレートを装着し、顎を拡げて歯が並ぶための充分なスペースを作ります。これにより健康な歯を抜かずに矯正がしやすくなるのです。
具体的には矯正装置を装着し、装置の真ん中のネジを回すことで顎を拡げていきます。痛みがないように少しずつ拡げて、歯を動かしますのでご安心ください。拡大治療とはあくまで小児期に顎を拡大することですので、これだけで歯がきれいに並ぶものではありません。将来の矯正治療を円滑に進めるための予備治療とお考えください。
大人になってからの床矯正(拡大)治療も可能ですが、床矯正は顎が成長途中である子どものほうが、肉体的にかなり負担が少なく済みます。個人差もありますが、顎を拡げるには6才ぐらいから治療をはじめ思春期までに一旦終え、大きな成長が終了してから矯正(2次)治療を開始するのが望ましいでしょう。
歯並びは歯の生え方の問題ではなく、骨格の不正常な発育の問題です。顎が発育せずに小さいままだと、歯は並びきれずに必ず乱れてきます。また下顎の成長が悪いと前歯が出っ歯のように見え、逆に上顎の成長が悪いと平面的な顔、もしくは反対咬合(受け口)になって下顎が前に出てきます。
ヨーロッパでは骨格の正常な誘導を主眼とした床矯正が盛んです。床矯正とは骨格を正常な状態誘導することで歯並びを改善します。顎が小さく並びきらない場合は顎を正常な大きさに誘導し、上下の顎の位置が悪い場合はその位置関係を正していきます。
床矯正装置は一種の入れ歯のようなものです。装置本体は入れ歯と同じプラスチックのプレートで成り立ち、その内部にスクリューやスプリングがついた構造になっています。このスクリューを回すことでプレートが変化し、その負荷がゆっくりと、顎を拡げ、歯を動かし、歯並びをきれいにしていくのです。床矯正にとって、あごの成長は矯正治療を行うための大切な要素です。そのため出来るだけ小さいうち(4歳ぐらいから)に床矯正を始めることをお勧めします。
歯の移動期間は6ヶ月から1年程で終了するケースが多いです。期間は症例や患者さんの装置の使用量によって変わってきます。また概ね初期の移動が完了したあとも後戻り防止の為引き続き保定という作業が必要ですし、新たに生えてくる歯に問題があれば同装置にて再び治療を開始する場合もあります。