智歯とは親知らずのことです。智歯が正常に生えないことが原因で歯ぐきが炎症を起こして奥歯の痛みや口の開閉に支障をきたします。智歯は上下にありますが歯周囲炎は下の部分に多く起きます。
智歯周囲炎の原因は食生活および食習慣に起因します。すなわち古代の人類は箸やフォークを使わずに食べ物にかぶりつく食習慣でした。しかし、現代人は箸やフォークを使う食習慣となったため、現代人の顎骨は退化し小さくなったのです。
しかし顎骨は小さくなったにもかかわらず顎骨に生える歯の数はほとんど変わらず、その結果、顎骨と歯のバランスが崩れてしまったのです。智歯は生えるのが他の歯よりも遅いため顎骨に智歯が生えるスペースがない、あるいは狭いため智歯に歯肉が覆いかぶさったり歯が横に生えたりあるいは水平に生えたりします。
その結果、歯ぐきや粘膜部分に食べ物の腐敗物がたまりやすくなって細菌感染によって炎症が発生するのが智歯歯周炎というわけです。智歯歯周炎の症状は食事の際に奥歯に重苦しい痛みが生じたり口を開けにくくなります。
その後、炎症が進んで咀嚼筋にまでおよぶとなおさら症状が重くなります。そして発熱で38度位になるとリンパ腺がはれて痛みます。智歯歯周炎の症状が重くなると顎骨の炎症、骨髄炎、口底炎などへ発展し全身症状へと移行します。
智歯歯周炎の治療は抗生物質や非ステロイド系消炎剤の投与で炎症を改善し智歯の周囲を清潔にします。症状は1~2週間で消えますが、まだ完全治癒ではありません。次のステップとして炎症が消えてから原因となった智歯を抜かなければなりません。
これらの処置を誤ると顎骨の炎症、骨髄炎、口底炎などの症状が進んで治療を長引かせることになりますので早期治療が大事です。智歯周囲炎の予防は常日ごろから智歯もちろんのこと歯を清潔にすることです。