有病者の歯科治療を数多く担っているのは病院歯科であるが、病院歯科のほとんどは「か 初診」医療機関でない。医管の算定をか初診医療機関に限定しているのは、明らかに現状からくる社会的要請と乖離していると言わねばならない。
また、全身状 態を評価するための医管が、歯周疾患基本/継続指導管理料との併算不可、というのは理解に苦しむ。さらに、有病者においては、歯科診療時のあらゆる局面に おいて(たとえ印象採得時や補綴物の試適・装着時など)、全身状態の急変が起こりうることは関連諸学会の幾多の報告2)から明らか であり、適応医療行為が「P処を除く処置/手術のみ」に限定されていることも不合理である。これらについては、本稿次章以下で詳述する。
また、極めて重要なことだが、回答を依頼した開業歯科麻酔認定医が、居住都道府県の保険審査傾 向、医管の請求状況などの情報をほとんど持っていないという例が非常に多くみられた。
その結果、各設問の選択肢のうち「その他・不明など」への回答がかな りの数に上った。診療報酬の請求、および審査に関しては、各地の社保および国保の審査会に名を連ねるか、または各県歯科医師会の社会保険部に籍を置く機会 でもないと、なかなか上記の情報は得にくい。開業している歯科麻酔認定医は、現実的にはなかなかこれらの機会に恵まれない。そしてこの事実が、歯科麻酔的 医療行為の保険上評価が実を結ばない結果につながっているとしたら、これ以上残念なことはない。
何と言っても全身管理が点数評価されたこと自体は、評価に値するものである。アンケート結果で も「画期的なこと」という選択枝への回答が多かった。これまで、安全な医療を提供するための全身管理、すなわちモニタリングについては、診療報酬上ほとん ど評価されてこなかった。
このためもあって、全身管理は歯科医療全般、特に開業医には普及しきれていなかったし、いわゆる有病者や障害者など全身管理を要 する患者は、経営規模の大きい大学や病院歯科などに依頼するか、一部の開業医によって医療人としての使命感からボランティア的になされてきたのが実情だっ たのである。今回の保険収載が全身管理が普及するための足掛かりとなり、より安全な歯科医療が広まっていくことを切に期待したい。
病院歯科の診療内容(役割)の一つとして、いわゆる有病者の歯科治療が挙げられる。しかし、前 出の通り医管はか初診医療機関に限られているため,病院歯科初診料算定機関では医管は算定できない。このため,多くの病院歯科勤務医は医管の実態さえ詳し くは知らない、というのが現実である。
その上、肝心のか初診算定機関でも医管はあまり活用されているとは言い難い。その結果、病院歯科に紹介されてくるい わゆる有病者の数も,医管導入前後でほとんど変化がみられていない施設が多いという。
病院歯科で医管が算定できない結果、医管という画期的な保険点数が、 このように有名無実になっていることは残念である。か初診算定機関などと施設形態によって区分するのではなく、専門医制度などを活用し、歯科医師のスキル などによる算定基準を設定する必要があるのではないかと考える。
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