歯は歯根膜という約300μm(マイクロメートル)(1μmは1000分の1mm)ほどの薄い座布団のような組織によって、あごの骨とつながっています。歯の中にある歯髄(しずい(神経)が炎症をおこしているうちは、むし歯ないし歯髄炎(しずいえん)と呼ばれ、歯自体の炎症ですが、その炎症がおさまらず、歯根の先端(根尖(こんせん))から炎症が歯の外に出ると、歯周組織、歯根膜に炎症がおこってきます。
これが歯根膜炎です。また、かみ合わせが高かったりする場合にも、歯根膜炎をおこすことがあります。急性の場合は、歯の根もとに相当する歯肉(しにく)(歯ぐき)を押すと痛んだり、歯が浮いた感じがしたり、かんだり歯を叩(たた)いたりすると痛むなどの症状があります。
歯髄炎の症状よりは軽いのがふつうですが、この症状は持続的で、1日の間の変化があまりみられません。症状が進むと、あごの下のリンパ節が腫(は)れたり、頭痛がしたりします。
しかし、慢性化してしまうと、歯が浮く、かむと痛む程度ですみますが、悪い方向に進行すると、骨が破壊されて膿(うみ)の袋(嚢胞(のうほう))ができたり、あるいは膿が歯肉から出てくることもあります(瘻孔(ろうこう)。
また、歯の根に膿の袋があると、歯科器具そこから細菌が血液を通って遠方の臓器に運ばれ、リウマチ熱、心臓弁膜症、急性腎炎(きゅうせいじんえん)などをおこす可能性もあります(歯性病巣感染(しせいびょうそうかんせん)。痛くなくても、歯が浮いた感じがしたり、なにか違和感を感じたりしたときには、早めに歯科医を受診することをお勧めします。
原因となっている歯の根をよく消毒し、細菌をなくして歯髄のあった部分の空間を充填(根管充填(こんかんじゅうてん))すれば、その上に金属で土台をつくり、人工的な歯をかぶせることもできます。しかし、膿の袋が大きい場合は、原因となっている歯の根に相当する歯肉を切り、膿の袋を骨の中から取り出したり、最悪の場合は抜歯(ばっし)することもあります。
歯根膜は歯根の表面のセメント質と歯を支える歯槽骨を結ぶ線維性の結合組織です。食物を噛んだりして歯に力がかかった時に、このコラーゲン線維が圧縮や引っ張られて、歯ざわりや歯ごたえを感じます。ところが、根尖組織に壊死、歯科 コントラ感染した歯髄がでてくると、生体の防御反応が起こります。すなわち、組織の細胞からヒスタミンが放出され、それによって歯根膜に分布する毛細血管は充血し、好中球やマクロファージが浸出してきて、炎症反応が起こります。このようにして歯根膜に炎症が起こると、力がかかった時に痛みや歯が浮く感じとなります。
次いで炎症反応の過程でリンパ球が出てきて、真空成型機歯根膜に存在する破骨細胞を活性化する因子となり、マクロファージがつくるプロスタグランジンなどとともに、根尖周囲の歯槽骨を破壊、吸収していきます。第3段階 : 骨膜下から粘膜へ炎症の拡大。炎症が拡大して表層に近づくと、自発痛もひどくなり、歯肉の発赤や腫脹(しゅちょう)が起こり、さらに進行すると膿(うみ)で腫れてきます(根尖膿瘍〈こんせんのうよう〉)。