私たちの心臓は、1分間に約70回、1日にすると約10万回も「収縮と拡張」のリズムをくり返し、血液を全身に送り出しています。このハードな運動を行っているのが、心臓の筋肉(心筋)です。心臓をとりまく冠動脈は、その心筋に酸素や栄養を供給しています。ところが冠動脈に動脈硬化などが起こると、血液の通り道が狭くなったり、ときには血栓ができてつまってしまうことがあります。
そうすると心筋に酸素がいかなくなり、強い痛みをともなう発作が起こり、急速に心臓の機能が停止してしまいます。手当てが遅れると、生命にかかわることもある重大な病気…それが心疾患の代表といえる狭心症と心筋梗塞です。
狭心症と心筋梗塞は、どちらも動脈硬化が大きな原因となっています。それだけに予防の基本は、動脈硬化を促進させないこと。
動脈硬化は、加齢とともにだれでも少しずつ進みますが、それを促進するのが肥満をはじめ、高血圧、高血糖、脂質代謝異常などです。すでに血圧や血糖値、コレステロール値、中性脂肪値などが高めの人は、まず病院を受診し、リスクをしっかり知ったうえで、医師から指導を受けるようにしましょう。
また自分でも、家庭血圧の測定などを行って自己管理を欠かさず、バランスのとれた食生活、適度の運動、禁煙、ストレスの解消など、生活環境の改善に積極的に取り組むことが大切です。