唾液腺炎はさまざまな原因で生じ、その原因によって細菌性、ウイルス性、アレルギー性、自己免疫性に分類されています。細菌性唾液腺炎:唾液の分泌が少ない時に発生しやすい疾患で、口のなかに常在する菌が唾液腺の開口部から侵入して発生するもので、急性のものでは唾液腺に痛みや腫れが生じ、導管の開口部から膿(うみ)が出たりします。慢性のものでは唾液腺が硬くなり、唾液の分泌が低下したりします。
急性のものに対しては、殺菌性うがい薬などにより口腔内を清潔に保つとともに、抗菌薬を投与します。慢性のもので口腔の乾燥感が強い場合には、うがい薬や人工唾液を使用することもあります。代表的なものとして流行性耳下腺炎、俗に言う「おたふくかぜ」があげられます。ムンプスウイルスの感染によって生じ、一度かかると免疫ができて再感染はしません。
潜伏期は2~3週間で、小児に多いのですが、大人では睾丸炎、卵巣炎などを併発して、不妊の原因になることがあります。まれに顎下腺におこることもあります。また、片側だけではなく、数日遅れて両側に発症することが多いのも特徴です。全身的には安静と解熱薬の投与、局所的には冷湿布(れいしっぷ)とうがいを行ないます。