大人と子どもでは、う蝕(虫歯)ができやすい場所に違いがあります。しかも、気づいたときには歯を抜かなければならないほど進行していることも・・・・・・。歯周病だけでなく、う蝕(虫歯)への対策も万全に!
う蝕(虫歯)は子どもに多いと思っていませんか? 厚生労働省「歯科疾患実態調査」によると、1987年には、5~9歳の43.3%(*)にう蝕(虫歯)がありましたが、2005年には14.6%に減少しています。一方、2005年における20歳以上のう蝕(虫歯)の割合は、各年代で90%(*)を超えています。これは、1987年に比べてほぼ横ばいか、増加傾向を示しています。大人は歯周病だけでなく、う蝕(虫歯)にも十分な注意が必要なのです。
歯と歯の間、歯と歯肉(歯ぐき)の境目、奥歯のみぞがう蝕(虫歯)になりやすいのは、大人も子どもも共通です。しかし大人の場合は、これらに加えて特に気をつけたいポイントが2つあります。
1つは、治療によって詰め物やかぶせ物をした歯にできる「二次う蝕(虫歯)」です。治療済みの歯が危ないのには、いくつかの理由があります。
そもそもう蝕(虫歯)ができた部分というのは、歯ブラシが届きにくかったり、歯並びがよくなかったりして、プラーク(歯垢)がたまりやすい場所です。そのため、正しいケアの方法を身につけないと、治療したとしても再びう蝕(虫歯)になりやすいといえるでしょう。
また、詰め物やかぶせ物と歯の間にすき間があると、そこからう蝕(虫歯)の原因菌が入り込んでしまいます。ところが、歯の表面と違って、詰め物やかぶせ物に隠れて、う蝕(虫歯)ができてもなかなか気づきません。
そのうえ、治療の際に歯が削られているため、菌が歯の奥のほうまで達しやすいほか、神経を抜いてある歯の場合はう蝕(虫歯)が進行しても痛みを感じません。歯科医院を受診するころには、抜歯が必要なほど症状が進行してしまっていることも珍しくないようです。
30歳代以降では、歯周病や誤った歯磨きなどの影響で、年齢を重ねるにつれて歯肉(歯ぐき)がやせていき、歯根が露出するようになります。歯根の表面は歯冠(歯の頭の部分)とは異なり、硬くて丈夫なエナメル質で守られていないため、プラーク(歯垢)がたまるとう蝕(虫歯)になりやすいのです。