超音波洗浄機は、超音波(通常15~400kHz)を用いて洗浄する器具である。超音波洗浄器は宝石、レンズなどの光学製品、コイン、時計、歯科及び外科治療で使われる器具、万年筆、機械部品、電子機器などの洗浄に用いられる。宝石の加工、時計工場、携帯電話の修理などで日常的に使われている。
超音波洗浄器では、洗浄する物体を容器に入れ、スケーラーを伝導する液体(水または有機溶媒)に洗浄する物体を浸す。水で洗浄する場合は、表面張力を打ち消すために界面活性剤を入れる。超音波を発生させる装置は器具に内蔵されているか、液体中に入れて使う場合もある。超音波は電子的に発生させる。
洗浄のメカニズムは微細な泡の発生と破裂(キャビテーション)に伴うエネルギーによるものであり、泡が破裂すると物体の表面から汚れが浮き上がる。超音波の周波数がより高いほど、泡の発生するポイントが多くなり、より高精度の洗浄ができる。発生する泡は10000度にも達し、1cm2 当たり3.5tにも達することもあるが、汚れの除去が主たる結果であるように、とても小さいものである。
また、溶解しにくい溶質を溶解させる際に容器を歯石超音波スケーラー内に漬けて超音波により迅速に溶解させたり、有機合成を行う際に溶質と溶媒の入った容器を漬けて反応を促進させるという使用も可能である。工業的に使われる超音波洗浄器は、自動車、スポーツ用品、印刷、海事、医療、製薬、電気めっき、技術開発、軍事産業などに使われる。家庭用のものも販売されていて容易に入手できる。
超音波の定義については、諸説があるが、一般的には「人間の耳に聞えない高い音(聞える音すなわち可聴音は、20Hz~20kHz」を超音波と呼んでいる。自然界ではコウモリが夜、空中を自由に飛び獲物を発見し、補足するのに超音波を用いてエコロケーションを行っている。
超音波の応用は、音の振動エネルギーを積極的に利用する「動力的応用」と、やまびこの原理である反射情報を利用する「情報的応用」とに大別される。前者の応用例としては、洗う(超音波洗浄器)、くっつける(超音波溶着機)、切る(超音波カッター)、霧にする超音波霧化器or超音波加湿器等があり、後者では、探る(魚群探知機)、診る(医療診断装置)、検査する(超音波顕微鏡、超音波探傷映像装置)、計る(超音波空中レベル計)等がある。
動力的応用のひとつとして超音波洗浄器は、最も盛んに利用されている技術の一つである。古くは、眼鏡、宝石などの汚れをとる洗浄より、最近では、半導体、液晶精密部品の製造工程などの精密洗浄に幅広く利用されている。ここでは、超音波洗浄に関する原理、特徴、機械の種類、選定方法などについて述べる。
日本では、電波法令にいう高周波利用設備に該当し、出力が50Wを超えるものについて従前は高周波利用設備許可状を要したが、1983年(昭和58年)に郵政省(現 総務省 )の型式指定制度の対象となり許可状は不要となった。更に1985年(昭和60年)には型式確認制度に移行した。
型式指定とは製造業者又は輸入業者が電波法令の技術的条件に関する内容を郵政大臣(現 総務大臣)に申請し、審査結果が適合しているものについて郵政大臣が型式を告示することである。型式確認とは製造業者又は輸入業者が技術的条件に適合しているかを自己確認した内容を届け出て、郵政大臣が型式を告示することである。この制度に関する表示は、当初が横径3cm、縦径1.5cmの楕円形、2006年(平成18年)より横長径が2cm以上の楕円形又は横長辺が5mm以上の長方形である。
実際に超音波洗浄器(超音波洗浄機)を使用する上では、キャビテーションは液深、液種類によっても発生の仕方が変化する。その為、良好な超音波洗浄を行うには、これらの管理が不可欠である。たとえば、振動面に這うようにキャビテーションが出ている場合は、超音波が有効に液中に出ていかないばかりでなく、振動面を痛め(エロージョン)振動板の劣化を早めてしまう。このような時は、液深を少し変えることで、キャビテーションが液中に効率良く発生し、効率良い超音波洗浄を行うことが出来る。