特定看護師は提案されてから、ずっと注目されている。
一体改革に翻弄される医療現場(4)- 揺れる「特定看護師」に期待と戸惑い
今年2月に閣議決定された社会保障・税一体改革大綱では、医療サービス提供体制の制度改革の一つとして、チーム医療を推進する方向性が示された。その目玉となっているのが、特定の医療行為(特定行為)を担う看護師の能力を認証する仕組みの導入、いわゆる「特定看護師」だ。しかし、制度化を検討している厚生労働省の作業部会では、議論が二転三転し、設置から2年半近くが経った今でも、着地点は見えない。揺れる制度改革に、医療現場では期待と戸惑いが交錯している。
10月23日の厚労省作業部会。委員の前には、長い議論を表すかのように資料が高く積まれている。 厚労省は8月下旬、作業部会の上部組織の「チーム医療推進会議」で、能力認証の枠組みに関する試案を示した。特定行為に関する規定を保健師助産師看護師法(保助看法)に位置付けるとともに、国は研修機関を指定し、その施設で研修を修了したことを看護師籍に登録するというもので、それまで提案していた国家試験の実施や、厚労相による能力認証を取り下げた形だ。
しかし、制度化に反対している日本医師会は、あくまで学会による認証を主張。これに対し、日本看護協会(日看協)は、国が能力認証に関与する必要性を示し、国家試験を行わないことによる安全性や質の担保に懸念を表明するなど、両者の主張は真っ向から対立している。厚労省は、来年の通常国会に保助看法の改正案を提出したい考えだが、先行きは不透明な状況となっている。
今後はどんな状態になるのか、皆さんも一緒に見てみましょう。