ギネスブックによると最も多い伝染病は『風邪』ですが、最も多い病気は『歯周病』だそうです。
『全世界で最も患者が多い病気は歯周炎などの歯周病である。地球上を見渡しても、この病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない』—ギネスブック2001、きこ書房。
TVコマーシャルでも花王が日本人女性の77.7%に歯周病があると告知しています。実は糖尿病と歯周病も、持ちつ持たれつの、迷惑この上ないパートナーなのです。
いや、むしろ歯周病は糖尿病の合併症のひとつと考えるべきかも知れません。アメリカ歯科衛生士協会(以下ADHA)の発表によると糖尿病者の95%に歯周病があるといいます。糖尿病による高血糖、高インスリン血症が太い血管も毛細血管も傷つけて、いろいろな合併症を引き起こすのですから、口腔内も例外ではありません。
糖尿病とは何らかの原因によって血液中の糖分をエネルギーに変えるインシュリンという物質の働きが低下血液中に糖分が溢れてしまう病です。現在、日本での患者数は予備軍を含めると1600万人以上いる国民病の一つです。主な原因として考えられているのは、高カロリーの食事や運動不足による肥満などです。
歯周病は糖尿病を悪化させることが近年の研究で明らかになってきました。それだけではありません。糖尿病が悪化すると歯周病も悪化させてしまうのです。
歯周病菌が入って歯周病になると、今度は歯周病によって起こる炎症やTNF―αの放出、そのようなことからインスリンが利きずらい状態になって糖尿病が悪化します。ですから糖尿病の人で歯周病が悪化した途端に血糖のコントロールが悪くなったりインスリンを使っている人ではインスリンの投与量が2倍に必要になることがあります。歯科の治療(歯科材料)をしたり抗生物質を服用したりして歯周病が改善してくると、またインスリンの必要量が減ってきます。
歯周病となる歯周病菌は現在10種類以上見つかっています。その中で最も毒性の強いPg菌という菌です。もしもPg菌が口の中で大量に存在すればそれだけで、糖尿病を悪化させるTNF―αを多く発生させているということになります。超音波スケーラーは必要です。
そこでバナペリオ検査でこれは確認できるのです。歯周ポケットから歯垢を採集し検査するのです。深い歯周ポケットには毒性の強い歯周病菌が繁殖しやすいのです。
糖尿病と歯周病は、共に、代表的な生活習慣病で、生活習慣要因として、食生活や喫煙に関与します。糖尿病は、喫煙と並んで歯周病の2大危険因子であり、一方、歯周病は、3大合併症といわれる腎症、網膜症、神経症に次いで、第6番目の糖尿病合併症でもあり、両者は密接な相互関係にあります。しかし、慢性炎症としての歯周炎をコントロールすることで、糖尿病のコントロール状態が改善する可能性が示唆されています。