「まいったよ。夜中に急におなかが痛くなって、救急車で運ばれたら尿路結石だった」。中高年の男性からときどきこんなエピソードを聞きます。尿路結石は痛くて耐えられないものだと、激痛に襲われるイメージがありますが、まったく自覚症状がないのに検診の超音波検査で「結石があります」と言われる人が多くなっています。
尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石がある状態です。日本では、腎臓と尿管に結石がある「上部尿路結石」が95%を占めています。おもな自覚症状は、わき腹から下腹部にかけての激痛や血尿ですが、腎臓に結石がとどまっている状態では、まったく症状がないケースがあるのです。このような場合、治療は必要なのか。
決め手となる診断法として重要性を増しているのがCT検査です。現在および将来的に「結石が尿の流れをせき止めているか」、「感染を起こしているか」が、尿路結石で治療を行うかどうかを判断する大きなポイントです。
CT検査では、画像によって正確に診断できるため、結石の見落としが少ないことが大きな特長です。腎臓の閉塞の程度もよくわかるほか、結石が硬いものか、隙間のあいたスカスカのものかといった石の密度まで判断できるため、診断後、治療の選択が適切にできるというメリットがあるのです。
腎臓に結石があっても、尿の流れや感染に問題がなく、痛みもないという場合は経過観察というケースもあります。また、痛みを感じる尿管結石でも、結石の長径が5ミリ以下では、自然に排泄する可能性が高いとされています。つまり、手術が行われるのは、結石が自然に排出されず、閉塞や感染によって腎機能が障害されている場合です。
上部尿路結石の手術は、結石に衝撃波エネルギーを照射して砕き、尿中に排出させる「体外衝撃波砕石術(たいがいしょうげきはさいせきじゅつ)」が主流でした。機器の改良によって副作用や痛みが少なく、麻酔なしの日帰り治療が可能になり、患者の体への負担が軽減された反面、結石を砕く効率は低下しています。それにともなって、普及してきたのが内視鏡を用いたレーザー手術です。
尿の流れとは逆向きに内視鏡を入れて、結石を取ったり、レーザーで砕きます。この「経尿道的腎尿管砕石術」は、現在、治療数が増えてきました。また、尿管を通らないほどの大きな結石の場合は、皮膚から腎臓のほうに内視鏡を挿入し、結石を砕いて採取する「経皮的腎砕石術(けいひてきじんさいせきじゅつ)」が行われています。