口腔にはいろいろな病気が生じるため、口腔ケアをする前に口臭、痛み,腫れ、出血か乾燥がないかを観察することも大切なポイントであります。高齢者の口臭はほとんどが口腔衛生状態の不良で生じた食べかすや歯周病による排膿、むし歯が原因ですが舌苔や義歯自体も見逃してはいけません。
口腔清掃の時、誤飲を避けるために起座位が望ましいのですが、多くの場合寝たっきりですので出来ない時は側臥位(顔を横に向けた姿勢)にし、汚さないように耳の所から肩甲骨の所までバスタオルを置きます。
出来るだけ毎食後に歯磨き粉をつけて、それが使用できない場合はうがい薬をつけて、障害の程度に応じて小さめの歯ブラシ、綿棒を使い清掃してください。義歯を入れている場合には、外して義歯用洗浄剤に漬けるだけでなく歯ブラシでの機械的な清掃もして下さい。義歯を外した後の部分や舌も柔らかい歯ブラシかガーゼで清掃します。
また、うがいや口すすぎも重要であります。うがいは口腔内と咽頭、喉頭部分に潤いを与え清潔にしてくれるので呼吸器の感染予防に重要でありますが飲み込んだり、気管に吸い込んだりしますので大変危険なので意識があり、唇が閉じられ、頭をのぞけられ、水を吐き出せる場合のみ行ってください。
口すすぎは水を含んで口先を漱ぐものですから顔を下に向けることでさらに安全に食べかすを取り除き口腔内をきれいにしてくれます。口腔機能が低下した人に手指での粘膜のマッサージや舌の引っ張り運動、歯ブラシや電動歯ブラシによる刺激がリハビリになります。
舌や粘膜への刺激は嘔吐を引き起こしやすいですが、注意しながら、疲労感を与えないように手際良く、楽しい雰囲気を作り、介護を受けている人の生活にリズムを与えることが口腔ケアに重要なことであります。