人気が高いカラオケだが、歌い過ぎは禁物。10曲も続けて歌うと、声帯は内出血を起こしやすくなり、ポリープの原因になることもある。カラオケの上手な楽しみ方について、慶応義塾大学医学部(東京都)耳鼻咽喉科の福田宏之・助教授に聞いた。
「声帯は左右2本ありますが、日常会話でも毎秒男性で100回、女性では250回も擦れ合って動いています。歌を歌うとさらに猛スピードで振動し、ソプラノになると毎秒1,000回以上も振動します。
しかも、瞬時瞬時に筋肉を使って声帯を厚くしたり伸ばしたりして形状を変化させ、音の高低を調節しています。このため、長時間歌うと、声帯を支配している筋肉が疲労すると同時に粘膜も疲労し、声帯を痛めやすくなります」
「一般の人は、3曲続けて歌うと声帯に負担を掛けやすくなります。10曲以上続けると、声帯の粘膜が充血して乾燥してきます。それを続けていると内出血を起こし、俗にカラオケポリープという声帯ポリープができることがあります」。「声帯ポリープは、喉を酷使しないで安静にしていれば自然に消失します。ところが、カラオケ好きの人はさらに酷使することになるので、ポリープが固まってきて、手術を要するケースが多いのです」。
「カラオケポリープという言葉に惑わされて素人判断で放置していると、喉頭がんを見逃す危険性もあります。しわがれ声が5日以上続いた場合は、最寄りの耳鼻咽喉科を受診した方がよいでしょう。特に、カラオケ好きでヘビースモーカーの中年以降の男性は、注意してください」。
「自分の音域に合った歌を歌うのが第一です。さらに、2~3曲歌ったらほかの人にマイクを譲るべきです。歌った後は、トイレでうがいなどをして、数分間声帯を休めるとよいでしょう。また、乾いた空気や喫煙は、声帯を乾燥させるのでよくありません。飲酒もほろ酔い程度ならよいのですが、多量に飲むと声帯に内出血を起こしやすくなるので、適量にとどめるべきです」。