プラークとは、歯垢のことです。歯ぐきにかくれた歯周ポケットの中のプラークは、歯周ポケットの壁にくっついているプラークと、歯周ポケットの中にたまっているプラークに分けて考えることができます。
これらのプラークは、歯肉溝液に含まれるミネラルを取り込み、歯石をつくります。歯周ポケットのみえない部分にも歯石はできており、この歯石は目に見える歯石と違って、毒素をたくさん含んでいるのです。
歯の根の表面は、体の中の絶えず作り変わっている細胞に富んだ骨と同じ組織ですから、時間がたつと根の表面にくっついた歯石は、根の表面と入り組んで成長します。歯ぐきの上の目に見える歯石は、実はそれほど害はなく、問題はこの隠れた部分の歯石にあります。
歯周ポケットの中の細菌は虫のように動く細菌が多く、この歯周ポケットにたまったプラークが歯周炎に直接関わっているのです。プラークとひとまとめにしていますが、歯肉に隠れたプラークの毒性は、歯肉の外の目にみえるプラークのざっと60倍にもなります。歯周炎の原因菌は、この歯周ポケットの中のプラークなのです。
歯周病は歯周炎と歯肉炎に大別されます!ちなみに歯肉炎とは、歯と歯ぐきの間にたまったプラークが歯ぐきに対して炎症を起こさせるものです。では、これらを防ぐためにはどのようにすればいいのでしょうか。治療としましては、毎日の歯みがきでプラークをマメに取り除くことが一番なのですが、それだけでは歯石までは除去できません。
定期検診で、歯科医に歯石を除去してもらうことが必要です。放置していると歯を支える歯槽骨が溶けはじめるのですが、これは自覚症状がでにくいため、気がつくと歯がグラグラということもありますので、注意してください。
また、不規則な生活が続いたり、疲労やストレスがたまると、抵抗力が弱まって、歯周病菌の感染のリスクが高まります。間食の多い方も特に注意が必要で、お菓子をダラダラ食べたりジュースばかり飲んでいると、糖質を栄養分にしてプラークはたまりやすくなります。歯周病対策には「治療より予防の方が大事である」ということを、ご理解ください。
スケーラーと呼ばれる器具を使用して歯や歯の根に付着したプラークや歯石を除去する治療を「スケーリング」と言います。歯石は、唾液に含まれるカルシウムと口腔内の付着物などが石灰化したものであり、歯周病菌をはじめ多くの細菌の温床でもあります。これをスケーリングによって除去することで、歯周病の発生を防ぐのです。施術後しばらくは歯間に隙間ができたり、歯が長くなったように感じますが、今まで付いていた歯石が取れた証拠ですのでご安心ください。
歯周病による歯槽骨(顎の骨)の破壊が大きく、歯周ポケットが深い場合にはスケーリングだけでは歯石をすべて取り除くことはできません。このような場合に、歯肉を切開して露出させた歯根にこびりついた歯石や感染した歯肉などを除去し、歯肉を元の状態に戻す治療を「フラップオペレーション」と言います。