上の歯と下の歯とで左右方向にずれが生じている状態を顎偏位といいます。顎偏位は成長と共に大きな左右差となって出てきますので、出来るだけ早い改善が望ましいと考えられます。幼児期や小児期の顎関節は柔軟性に富んでいるため、適切な環境を整えることにより適切な成長へと誘導することが可能です。しかしながら、改善が容易な年齢が低い時期に放置してしまうと顎の大きさが左右非対称に成長してしまい、解決方法は手術に頼らざるを得なくなることも少なくありません。
顎偏位とは顎の状態は左右対称的であっても顎の動き自体に左右のずれがあり、その結果あたかも顎が左右非対称なような状況になるケースをいいます。一方、顎変形は顎の大きさや対称自体に問題がある状態をいいます。従って、 顎偏位より顎変形の方が症状としては重いと考えられ、改善の為には、外科的手術が必要となることもあります。
あごを動かす関節や筋肉に異常が生じて、「口を開けたり閉めたりするときにカクカク音がする」「口を大きく開けると痛くて、開けられない」といった症状を訴える患者さんが増えています。これがまさに“顎関節症”なのです。
雑音、痛み、開口障害が代表的な症状です。顎関節症とは一言で言えば顎関節に均等に力が加わらないために関節内部が変形したり、顎関節を動かしている筋肉が緊張、疲労し関節雑音、関節周囲の筋肉の痛みなどを引き起こす症状のことで、さらに、一見歯とは関係のないように見えるめまいや慢性的な疲労感、一時的難聴、嚥下困難を伴い“第3の歯科疾患”と呼ばれています。
子供のときからのハンバーグ、スパゲッチー、レトルト食品などの柔らかい食品を中心とした食生活をしていると“噛む習慣”が身につかず、あごの骨格や筋肉が十分に発達しない。その様な条件下が基礎的要件となります。
その根本原因の多くは、あごと顎関節との不調和にあります。この部分には数多くの神経や小血管が分布しているため、位置的にズレを起こした関節は激痛を起こすことがあり、この痛みはあごの位置を正しく直さない限り良くなることはありません。
では一体なぜ、あごと顎関節の不調和が起こるのでしょう。先ほど述べた食習慣もあれば、症例によっては生まれるときに原因が或る事があります。例えばかんし分娩です。その他咀嚼や嚥下の悪習慣、異常咬合、歯の早期喪失、義歯や充填物、歯の萌出異常、口の悪癖、姿勢の悪さや仕事上の習慣、怪我が原因のこともあります。