骨がやせてしまっている患者様のインプラント治療には、事前の骨移植や骨造成が必要な場合がありました。そもそも骨が薄くてドリルを使用できないケース、ドリルの径が太いために周囲の骨も削れてしまうケースなど、さまざまな症例があります。その場合、さらに大がかりな骨移植や骨造成の手術が必要ななり、治療後には口腔以外の部分にも痛みが発生し、入院が必要な場合もあります。
骨造成を行わないインプラント方式は、骨表面に小さな穴を開け、特殊な専用器具を用いて穴を少しずつ広げていくことでフィクスチャーを挿入可能とする治療です。骨を削る作業や歯科治療特有の不快な音や振動がほとんどなく、患者様に快適な治療を提供できます。
直径0.5ミリ程度の小さなバーで、穴を開ける位置を決めます。麻酔を行っているため患者様は痛みを感じず、時間にしてわずか1秒程度の作業です。細いリーマー(鍼灸治療の針のような器具)で、穴を開けるための専用器具の通り道を作ります。手作業になるため、不快な機械音は発生しません。リーマーで空けた穴に専用器具「オーギュメーター」を挿入し、穴を広げます。やせている骨であっても無理なく少しずつ広げていきます。
段階別にオーギュメーターの太さを変え、徐々に穴を大きく広げていきます。必要な穴の大きさになるまでオーギュメーターのサイズを変えながら、徐々に広げていきます。手作業で丁寧に進め、人工歯根が埋入可能な太さまで広がったら、人工歯根を埋入します。以降の経過は従来の治療と同様です。骨とフィクスチャーが結合したら、人工歯を装着して治療は完了です。
骨造成・骨移植を行わないインプラント方式と、従来のドリル方式の治療の流れを比較してご説明します。 大口式はドリルを使用しないため、痛みや出血、事故リスク、治療の長期化などといった患者様への負担が大幅に軽減されるのが特徴です。また切開や切削など が不要なため、術後の経過が歯科医の技術に大きく左右されることがありません。