サイナスリフトのポイントとして、以下の項目が重要と考えられる。
(1)上顎洞の病変を見逃すな
術前の診断にはCTが不可欠で、上顎洞に病変が存在している場合は、病変を治療してからサイナスリフトを行うことが重要である。
(2)後上歯槽動脈がトラップドア部を横走している場合があり、CTで確認しておく必要がある。
(3)上顎洞の形態は複雑
上顎洞の形態には個人差があり、隔壁が存在している場合が多い。CTで上顎洞底の形態を3次元的に把握し、上顎洞粘膜の剥離時に粘膜の穿孔を生じないように注意しなければならない。
(4)上顎洞粘膜が破れたら
筆者は、上顎洞粘膜に穿孔を生じた場合、コラーゲン膜を穿孔部に設置して骨補填材が上顎洞内に流入しないようにしている。自験例では、術後のCTで同部に骨形成が認められたが、骨補填材が上顎洞内に流入していないか否かを必ずCTで確認する必要がある。
(5)上顎洞粘膜は術後に爆発する
サイナスリフト後1週間に、上顎洞粘膜は必ず腫脹する(図2)。上顎洞粘膜の剥離という機械的な刺激が原因と考えられるが、76側中76側(100%)に腫脹が出現し、74側において術後3カ月以内に腫脹は消退していた。上顎洞粘膜の腫脹による悪影響は、トラップドアを介して、骨補填材が頬側に流出することである。筆者は、トラップドア部をチタンメッシュとマイクロスクリューで閉鎖している。
(6)β-TCPを用いて造成した骨は、術後2~3年で皮質骨と海綿骨に分かれて安定する。
サイナスリフトの骨補填材としてβ-TCP顆粒を用いた場合、術後2年間は活発な骨形成とリモデリングが生じ、最終的には皮質骨様と海綿骨様のX線不透過像を呈する(図3)。したがって、サイナスリフトが成功したか否かは、術後2年以上経過したCTで検証しなければわからない。
(7)術後感染のリカバリーは大変である
サイナスリフト部に術後感染を生じた場合、上顎洞炎を発症することが多い。したがって、骨補填材の除去や消炎処置などが必要となり、リカバリーの術式はサイナスリフトよりも複雑になる。万一、上顎洞根治術を受けた場合、上顎洞前壁と下鼻道側壁の骨が除去されるため、2度目のサイナスリフトは不可能になると考えられる。
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