「少しくらい歯並びが悪くても、多くの場合、生活に支障はないから大丈夫」。犬の歯に関しては、そんな風に言われることが多いようです。
たしかに人間と暮らす犬にとって、歯の本数や歯並びの異常は、すぐには問題になりません。そもそも犬は食べ物を何回か噛み切ったら、丸飲みに近いかたちで飲み込みます。そのため、食べやすい大きさになってさえいれば、極端な話、歯がなくても食事はできるのです。
とはいえ「歯の本数や歯並びに異常があっても大丈夫か」というと、それは間違いです。歯並びの異常は、将来的に高い確率で歯周病を引き起こし、口の中の粘膜を傷つけることもあります。また本数の異常は、歯並びに影響を及ぼすことも。したがって、こうした異常にはできるだけ早期に対処することが大切です。歯の本数や歯並びについて、基本的な知識を持っておいてほしいと思います。超音波スケーラーは大事です。
1.歯の数と種類
乳歯の場合、上下左右各5本ずつ(これを前歯から順にABCDEで表します。上下左右計20本の歯が歯並びを作っています。名称(A: 乳中切歯 B: 乳側切歯 C: 乳犬歯 D: 第一乳臼歯 E: 第二乳臼歯)これらが永久歯に生え替わると上下左右各7本ず(これを前歯から順に1234567で表します)上下左右計28本の歯が歯並びを作るようになります。名称(1: 中切歯 2: 側切歯 3:犬歯 4: 第一小臼歯 5: 第二小臼歯 6: 第一大臼歯 7: 第二大臼歯。これに第三大臼歯、俗に言う親知らず(8)を加えると合計32本になります。
2.歯の萌出の順序について簡単に説明します。
(1) 乳歯は前から順に生えてきます。A→B→C→D→E
(2) 同じ歯では下あご→上あごの順に生えてくることが多いようです。
(3) 最初の乳歯は生後7〜9ヶ月位で、最後の乳歯は2歳半くらいで生えてきます→乳歯列の完成
(4) 永久歯の生える順序は6→1→2→4→5→3→7→8が多いようです。
歯周病は単なる口の病気ではありません。最近、さまざまな研究により、歯周病と全身の健康との関係がつぎつぎにわかってきました。たとえば、糖尿病の人には歯周病になっている人が多く、また歯周病が治りにくいという報告があります。歯周病と心臓病・肺炎・低体重児出産・骨粗しょう症などとの関連も指摘されています。
これからの日本の目標は、健康寿命の延伸です。健康寿命とは、健康で明るく元気に生活する期間、つまり寝たきりや痴呆にならない期間のことです。そのためには、歯の寿命を伸ばすことが大切。20本以上自分の歯がある人は各年代で増えていきます。今後も8020運動を続けていくことによって、歯(歯科材料)の寿命を伸ばし、健康寿命を伸ばすことが可能です。