味覚障害とは
何を食べても味がわからない、料理の味が薄く感じられます。普段、人々が味という場合には、味蕾(みらい:味を感じる細胞)で感じる甘い、辛い、しょっぱい、苦い、酸っぱいといった味覚だけではなく、匂い、温度、口ざわり、歯ざわり、歯ごたえ、形状、大きさなどの総合的な判断をしています。
味覚障害症状
味覚低下、味覚消失・脱失 、自発性異常味覚、錯味症・異味症 などです。
味覚障害の治療
味覚の原因は、不明の点もありますが、多い順に食事、薬物、全身の病気、ストレスがあげられます。
(1)食事の内容による味覚障害
最近、亜鉛などの微量元素が味覚に重要な関わりを持っていることがわかってきました。
亜鉛は必須微量栄養素のひとつです。普通の日本食をちゃんと食べても亜鉛摂取量は諸外国に比べて少ないのに加えて、偏食、朝食抜き、ファス トフードやコンビニの弁当で食事を済ますという食生活が習慣になると亜鉛欠乏症になります。コンビニなど工場生産の食品は清潔さを追求するあまり、本来摂 取しなければならない成分まで取り除いてしまい栄養学的には欠陥食なのです。また、激辛好みは味蕾を消滅させる危険性があり、無理なダイエットも味覚障害 の原因になります。日本には亜鉛の市販薬はありません。亜鉛を多量に含む食品(蠣、魚卵、緑茶、卵黄、海草、玄米、椎茸、ゴマ、小魚、大根やカブの葉な ど)をとるようにしましょう。
(2)薬剤による味覚障害
最近注目されてきたのは薬による味覚障害です。降圧利尿剤・解熱鎮痛消炎剤・抗ヒスタミン剤・ペニシリン系を中心とした抗生物質・制ガン剤・副腎皮質ホルモン剤などの 長期連用・併用で尿に多く亜鉛が排出されるために味覚が障害されることがあります。
投与中止で味覚は元に戻りますが、回復に時間がかかることもあるようです。
(3)全身の病気による味覚障害
溶血性貧血・糖尿病・胃切除・肝不全・その他の肝疾患・ネフローゼ・透析・腫瘍・膠原病・内分泌機能低下などの全身の病気で味覚障害がおこります。また、妊娠や火傷も味覚障害をおこすといわれています。
(4)口腔の病気による味覚障害
舌の病気である舌炎や舌苔(ぜったい)・口内乾燥症・かぜによるのどの病気でも味覚障害をおこします。また、かぜによる嗅覚障害に続く味覚障害は風味障害として現れることが多いといわれています。
(5)心因性味覚障害
うつ病・ヒステリー・ストレスなども味覚障害をおこすといわれています。しかし、うつ病は抗不安薬や抗うつ剤を常用していることから薬物による影響も見逃せないという意見もあります。