嚥下障害がある人には、どのように食べさせたらよいですか
1) 異常をできるだけ補って正常のメカニズムに近づける。つまり食物が舌にのると「口を閉じ舌を口蓋につけて息をとめ口角をひいてうなづくようにゴックン!」である。ゴックンで喉頭が挙上し食道の入口が開く。この夕イミングを捉えて食べさせる。
2) 呼吸を整え口腔ケアと嚥下体操を行なう。
3) 食物がぽろぽろこぼれたり、いつまでも口腔内にある場合は、ロを閉じてうなづき嚥下をさせる。
4) 嚥下反射は口唇が開いていたり、呼吸をしている時はおこらない。咽頭への寒冷刺激やメンデルゾーンの手技(喉頭挙上を保持)は反射誘発に効果がある。咽頭の健側で嚥下させる。
5) 食物の咽頭残溜は小量の水で交互嚥下したり、横向き嚥下が効果的である。ゴックン!に次いでハーと息を吐くと誤嚥が少ない。
6) 逆流の防止に食後30分位起しておく。
嚥下障害に対してはリハビリテーション訓練が有効です。訓練法には
(1)食物を用いない基礎訓練と(2)食物を用いる摂食訓練とがあります。基礎訓練は安全に行えますがこれだけで食べられるようになるわけではありません。そこで実際に食物を食べる訓練=摂食訓練が行われるわけです。これは実践的で最も効果的である反面、誤嚥の危険と隣り合わせです。汁物や食物が時々むせるといった軽度の症状では,ゆっくり注意して食べる、むせやすい食物をさける等で対処できます。安全に食べ続けることが嚥下機能を維持し、改善させる最も有効な方法です。重症では手術が必要になることもあります。
嚥下障害のある人の口腔ケアの注意点
(1)嚥下障書のある人は口腔内汚染が強く、舌苔がつきやすいので汚染された口腔内分泌物を誤嚥し、肺炎をおこす危険があります。したがって唾液が気道へ流れこんで感染のない状態にしておくことが大切です。
(2)口腔ケアにはお茶や冷水を用い、誤嚥しないように健側を下にして行ないましよう。
(3)食前後に歯ブラシや綿棒で舌苔を除き歯根部をマッサージして唾液の分泌や嚥下筋の緊強を高めましよう。また開ロ障書には大臼歯周囲の歯根部を軽擦したり頚部伸展位、リラクゼーション等が効果があります。
(4)口腔ケアは摂食・嚥下の間接訓練です。舌の麻痺や萎縮には舌を引き出すようにストレッチやマッサージを行ない、咀嚼運動を誘発させましよう。また咽頭に寒冷刺激を加えた後、うなずき嚥下を行うと唾液を嚥下する訓練になります。