顔の中心から奥のほうへ数えて8番目の歯を親知らずといいます。この歯は生える時期が極端に遅く、平均寿命が短かった昔では親が死ぬ頃になって生えたことからこのように名づけられました。正しくは、智歯(ちし)または第3大臼歯(だいきゅうし)といいます。実際には、20歳前後に生えることが多いのですが、40歳代になってやっと生えることもあります。奥歯の痛みを我慢して「親知らずだったら、どうしよう」と悩む。また、歯医者に来て「あ、親知らずですね」と言われて「うわー親知らずですか!」とショックを受ける人は多くいます。身近な人から脅されて恐怖している方も多いでしょう。
歯は生物の進化とともに退化する傾向があり、そのために大きさは大臼歯の中では最も小さく、形も萎縮したような変形のバリエーションが多くみられます。人によっては、左右上下そろえば4本ある親知らずのうちまったくない人から、全部ある人まで様々です。
親知らずから入り込んだ菌が心臓に到達する?
親知らずの痛みを放置し、歯の周囲に感染した細菌が、さらにその奥にある筋肉などの隙間に広がりながら顎の奥のほうまで伝わるという、最悪のケースを想定してみましょう。
1.親知らず周辺が腫れる
2.感染が顎の下に拡がる
3.感染が喉周辺にまで拡がる
4.感染が心臓周辺にまで拡がる
「昔、親知らずを抜いたケド痛かったよ~」と、あなたをオドス周りの方々の意見は殆どが「抜く時」で はなく、「抜いた後」の話です。抜く時に痛いのならば麻酔を足して対応できますが、抜き終わって家に帰った後、麻酔が切れてからの痛みは痛み止めを貰って 飲んだものの、あんまり効かないとか何日も痛みが続くとかがイメージとして残っていてあなたをオドスのです。
実際、素直にまっすぐ生えている親知らずでも、抜いた後には顎の骨に小指の先ぐらいの穴が明く訳ですから、まったく痛くない訳はありません。ただ、質問でよく頂くのは「こんなに痛いのは異常なのでは?いやいや、歯医者がヤブだったのでは?」というものです。
智歯周囲炎で歯肉が腫れるたびに消毒と内服薬に頼って、一時しのぎにしている人が多いようです。再発を繰り返す親知らずは、抜歯してもらう勇気を出して下さい。歯肉が強く腫れている場合には、当日の抜歯を避けて症状を治めてからにします。また、難しい抜歯(難抜歯)で時間がかかる場合も、急患で駆け込んだ当日の抜歯はできないことがあります。したがって、抜歯しなければならない親知らずを抱えている人は、症状が強く出ていない時に、ゆとりをもって治療に臨むことです。難抜歯後は、抜歯創の消毒や抜糸など、術後も何度か通院しなければならなくなりますから、予定しておく必要があります。